国内ガス2位で、新電力大手でもある大阪ガス。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、特集『総予測2024』で1月5日に配信した『大阪ガス社長が描く次世代ガス「e-メタン」の未来図とは?鍵を握る調達戦略を明かす』に収載しきれなかった藤原正隆社長のインタビューのフルバージョンをお届けする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
一足飛びに再エネ100%にはならない
「石炭・c重油→LNG→e-メタン」
――ガス業界では、都市ガスの代替エネルギーであるe-メタン(合成メタン)への移行が脱炭素の鍵となります。
よく申し上げるのですが、一足飛びに再エネ(再生可能エネルギー)100%の国になるわけではありません。再エネにはコストもかかります。水素、アンモニア、そしてe-メタンも、今までのエネルギーと比べて高い。
例えば瀬戸内の中国・四国地方には、石炭BTG(ボイラータービン発電)の会社がたくさんあります。そこを液化天然ガス(LNG)に替えれば、たちまち二酸化炭素(CO2)排出量が半分になります。そういう転換作業を進めていきます。
石炭からLNGにしてもらって、その後にe-メタン。スムーズにシームレスな転換ができるのではないでしょうか。C重油からLNGへも。それで大幅なCO2削減ができつつあります。
次ページからは、藤原社長がe-メタンの生産(メタネーション)に対応できない中小ガス会社が今後取るであろう対応を明らかにする。また、24年以降のLNG動向のほか、大阪ガスが力を入れる蓄電池事業の“秘蔵っ子”の正体を語る。さらに、来年に控える大阪万博についても意気込みを述べた。