三野禎男・日立造船社長CEO(最高経営責任者)インタビュー写真提供:日立造船

日立製作所との資本関係がなくなって久しく、祖業の造船業からも遠のいていた日立造船。社名変更すべきとの声が長年株主などから上がっていたが、ついに同社は2023年9月、新社名をカナデビアとすると発表した。新社名の下、ごみ焼却発電プラントや新電力、洋上風力発電といった事業をどのように成長させていくのか。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、三野禎男社長CEO(最高経営責任者)のインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

新社名候補は700~800も
実は「Hitz」も有力候補

――慣れ親しんだ日立造船の名称から2024年10月、新社名「カナデビア」に変わる予定です。

 6月の定時株主総会での承認を得て、正式決定となります。新社名を聞いた方々は「驚きました」という反応でした。しかし、奏でるという意味とか、ビアの意味を申し上げると「ああ、なるほど。受け継いでいきたいもの、思いを込めた名前なんですね」と評価を頂いています(ダイヤモンド編集部注:日本語の「奏でる」とラテン語のVia〈道・方法という意味〉を組み合わせた造語。オーケストラがハーモニーを奏でるように、人類と自然に調和をもたらす新しい道を切り開いていくといった思いを込めた)。

 22年1月に取締役を中心としたメンバーで検討委員会を立ち上げ、1年半ぐらい検討しました。候補は700~800ぐらいありました。

 Hitz(ヒッツ)も有力候補の一つでした。しかしある国のある事業分野で商標権に抵触することが分かり、それが選ばなかった理由の一つ。社名変更に際しての議論の中心は、受け継いでいきたい精神とか企業理念。ヒッツにはどういう思いが込められるかと考えたとき、候補としての優先度が下がりました。ヒッツだとやはり日立をイメージしますし。

――業種名が新社名に入っていないことは問題なかったのでしょうか?

 現在取り組んでいる事業を新社名に入れたいとは思いませんでした。繰り返しになりますが、受け継いていきたい精神などを新社名に込めたいなと。事業を新社名に入れますと、事業が将来変わるとまた対応しないといけませんしね。

次ページからは、三野禎男社長CEO(最高経営責任者)が現在の主力事業であるごみ焼却発電プラントのグローバル展開のほか、国内の新電力事業や洋上風力発電事業の注力ポイントなどを語る。