「ストレスで胃腸が痛くなることがありませんか?」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)

「ストレスで胃腸が痛くなる人」へのたった1つの対処法Photo: Adobe Stock

緊張と胃腸のメカニズム

 あなたは、緊張などによって「胃腸の調子が悪くなるとき」がありませんか?

 胃腸などの消化器官は、メンタルヘルスの不調によって影響を受けます

 私たちの胃腸などの消化器官は、自律神経という自動で臓器を動かす役割を持つ神経と深い関わりがあります。

 自律神経のバランスは、あなたの精神的な緊張やリラックスなどのメンタルヘルスに影響され、運動している最中などの「体を動かすことで緊張する場面」では交感神経が優位に作用し、食べ物を消化するための胃腸の機能は低下します。

 逆にリラックスして落ち着いているときには、食べ物を消化するために副交感神経が優位に作用し、消化の機能は亢進します。

 このように、緊張やリラックスなどの心理的な変化によって、自律神経の機能はまるでスイッチのオン・オフを切り替えるように変化するのです

 そんな自律神経は、リラックスする時間を取らずに緊張したままでいると誤作動を起こしてしまいます。

 だからこそ、緊張やストレスの高まりやすい現代社会では、運動などリラックスにつながる取り組みを意識的に取り入れる必要があるのです

気持ちいい運動を取り入れよう

 運動はメンタルヘルスを改善させるためにとても効果的です。

 運動がメンタルヘルスを改善させることを裏付けるエビデンスは数多く存在し、一般的にはチームスポーツやサイクリング、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせ、約45分ほどの運動を週に3~4回行うことが推奨されています。

 ですが、そんなに運動する時間を確保することが難しかったり、そもそも運動ができない、と悩む人もいるでしょう。
 幸いなことに、「メンタルヘルスを改善させるための運動」については、運動の内容や質にそれほどこだわらなくともいいということがわかっています。

 大切なのは「今日も運動できたな」という感覚を持てるようになることで、あなたが心から楽しいと思える運動を見つけて、それを続けることがメンタルヘルスを改善するうえで最も大切なことになります。

 運動の内容や質にこだわって、「あの人に比べて運動が足りていない」と感じたり、「これくらいしかできない自分はダメだ」というプレッシャーを感じてしまうと運動によるメンタルヘルスの改善効果は半減してしまいます。

 あなたが「運動は気持ちがいい」と感じられる範囲でおこなう運動こそが最もメンタルヘルスにいい運動になるのです
 そのうえで、もし余裕があれば、外に出たり、自然の中で過ごすなどの自然のなかに身を置くことで、より一層の効果が見込めるでしょう。

(本稿は、頭んなか「メンヘラなとき」があります。の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです)

精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。