マイナス金利解除をめぐる市場の思惑
1月見送りで4月がXデー候補に
1月の金融政策決定会合でマイナス金利の解除は見送られたが、会合後の記者会見で植田和男・日本銀行総裁は、消費者物価の基調的上昇率が2%の目標に向けて徐々に高まっている確度は、引き続き少しずつ高まっているとして、目標達成への自信を深めている。
また、会合における主な意見を見ると、マイナス金利解除の是非をめぐって意見が分かれているというより、物価安定の目標達成の判断のタイミング、あるいは市場とのコミュニケーションやオペレーションの仕方などが議論されている。
次の展望レポートが発表される4月の金融政策決定会合において、マイナス金利政策が解除されるというのがメインシナリオになってきた。
一方で、物価上昇率のピークアウトが明白になり、物価安定目標を下回る可能性が高まっている。政府の物価対策が終了されれば、物価上昇率はある程度高まるが、いずれ2%の物価安定目標を下回ることになろう。
そのような環境下でマイナス金利の解除は難しいとの見方もある。しかし、日銀はそうした物価環境を承知した上でマイナス金利を解除しようとしている。
植田総裁は、昨年12月の金融政策決定会合後の記者会見で物価安定目標達成の判断は「大きなマイナスのショック等がないときに2%を大きく下回るところにいかないという確度が高まったかどうかという基準」で行うと述べている。つまり、ある程度の2%割れは許容範囲ということだ。
さすがに政府の物価対策が終了しても物価が2%を割れてきた時にマイナス金利を解除することは難しいだろう。しかし逆にそうなる前に、つまり4月の決定会合までにマイナス金利を解除しておくというのが日銀の描くシナリオだろう。