中小企業が犯しがちな
営業DXツール導入の「罠」
営業DXは、ITツールの導入は欠かせません。特に、営業支援システム(SFA)やマーケティングオートメーション(MAツール)が一般的なITツールです。これらのITツールは、大企業向けに設計されているものが多く、その導入が進むにつれて知名度が上がってきました。
中小企業で営業DXを進める際にも、これらの有名なITツールを選択肢として考えられがちですが、大企業向けのITツールを導入すると、後々、問題が生じることがあります。年間、数百万円をITツールに投じながら、社内でほとんど使われていないという状況がしばしば発生します。
営業DX用のITツールには海外製のものもありますが、日本の中小企業には適しない場合もあります。海外製の有名ITツールを利用するためには専門知識が必要で、導入費用に加えて、使用するための研修費用が発生することもあります。中小企業では人材の流動性が高く、担当者が退職した場合に再度研修費用が必要になることがあります。
大企業には専門部門や専任担当者がいますが、人手不足に悩む中小企業では、営業DX用のITツールの管理と通常の業務と兼務しなければならず、業務量が増えることになります。業務量が増えて専門性の幅も広がるため、適切な人材を社内で探すことが難しくなります。もし担当者が退職した場合、後任者探しに苦労するかもしれません。これが、有名なITツールを導入する際の「罠」です。
営業DXの目的は、高い専門性が必要な有名なITツールを導入することではありません。ITツールは手段に過ぎず、自社の能力と運用に必要な専門性のバランスを見極め、使いやすさを考慮したうえで、自社に適したITツールを選ぶことが肝心です。コンサルタントからITツールを紹介された場合でも、自社で十分な知識を身につけ、実際に試験的に使用してから選定することをおすすめします。
営業DXのための有名なITツールは、大企業の採用によってその知名度を高めていますが、知名度だけで選択しても成功するとは限らない、という「罠」が存在します。