「夢の営業DX」が悪夢に?
中小企業のコンサルタント頼みの「罠」

 営業DXのコンサルタントはその分野の専門家であり、数多くのプロジェクトを経験しています。コンサルタントに、営業DX導入の支援をお願いする中小企業も少なくありませんが、営業DXの導入方針や戦略の助言や指導に加えて、実施作業までコンサルタントに依頼することは問題です。

 コンサルタントに作業を多く依頼するほど、料金は高額になりがちで、結果としてコンサルティング費用が膨らむことがあります。成果が伴わない場合、企業は「高い費用を支払ったのに成果が得られなかった」と不満を持つかもしれません。

 さらにコンサルティングが終了したのち、営業DXが社内に定着しないこともあります。作業をコンサルタント任せにしてしまうと、その知見やノウハウが社内に根づきません。結局、営業DXは名ばかりとなり、「社長が推進した夢の営業DXプロジェクト」と皮肉られる恐れもあります。

 コンサルタントを効果的に活用するには、助言や指導に止めるべきです。営業DXの助言や指導を受けつつ、実際の作業は社内で進めることが望ましいでしょう。社員がコンサルタントから営業DXに関する知識を学びつつ、実際に作業をすることで、知識だけでなく手法も習得できます。このやり方により、作業の社内定着と将来の改善への道筋がつくられます。コンサルタントは、相談相手としての専門知識やノウハウを提供する役割に限定すべきで、業務委託とは一線を画す必要があります。

 このようにすれば、社内に営業DXの専門スキルを持った人材を育成することができます。コンサルタントの活用方法を誤ると、営業DXは形骸化し、失敗に終わるリスクがあります。

 中小企業には営業DXの専門家がいないことが多く、外部のコンサルタントに依頼することは理に適っています。その半面、コンサルタントの活用方法を間違えると、高額なコンサルティング費用を払うだけで終わり、導入後の営業DXが形骸化する「罠」に陥る可能性があるので注意が必要です。