「究極の質問」までの過程を
営業担当者は研究すべし
そして四つ目の布石は、提案した商材について「率直な感想を聞くこと」だ。
杉谷氏によると、「いかがですか?」「興味はありますか?」と、こちらも単刀直入に聞くのだという。そこで好感触が得られれば、「どういったところが気に入っていただけましたか?」と質問を重ね、受注につなげていくことができる。
もちろん「面白くないです」「興味はありません」などと厳しい言葉が返ってくる可能性はあるが、杉谷氏は「では、どういったものにご興味を持っていただけますか?」とめげずに質問を続けるという。最初の提案は断られても、顧客ニーズを把握し、「次の打ち手」に生かすことができるからだ。
このように布石を打ちながら会話していき、相手のニーズ・課題・目標などを具体的に把握できたところで、いよいよ切り札を出すときがやってくる。
「今日お持ちしたこの商品を、どうしたらご採用いただけますか?」
そうやって「究極の質問」を投げかけるのだ。
たとえその場では受注できなかったとしても、何らかの返答が得られれば大きな前進だ。顧客に語られた採用基準を満たした上で再度提案すれば、受注につながる確率は大幅にアップする。
「皆さん回り道をするのですが、これ(究極の質問)をどういうふうに聞くかを試行錯誤するのが、営業だと思います」(杉谷氏)
こうした「布石を打ちながら掘り下げていく質問術」は汎用性が高く、「BtoBだけでなくBtoCでも使えます」と杉山氏は太鼓判を押す。従来は「会話の主導権を握る」「雑談を盛り上げる」といった点に意識が向いていた営業担当者は、次の商談でぜひ取り入れてみてはいかがだろうか。
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