医薬品開発の大手、シミックとEPSの相次ぐ上場廃止で浮上する「2つの懸念」とは?Photo:PIXTA
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 経営陣による買収(MBO)の賽は投げられた──。治験の受託などを手掛ける医薬品開発支援機関(CRO)大手のシミックホールディングス(HD)は1月5日、昨年11月8日から行っていた株式公開買い付け(TOB)が終了したと発表した。これにより、シミックHD創業者の中村和男代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO、写真)がトップを務める企業が筆頭株主となるMBOが成立、上場廃止となる。

 同じくCRO大手であるEPSHDも、21年にMBOによって上場を廃止している。内資系CROの草分けとして、国内市場の開拓・拡大に力を尽くしてきた両社がこれで株式市場から姿を消すこととなる。「相当ショックを受けている」(リニカル秦野和浩社長)との声に代表されるように、業界を中心に衝撃が広がっている。

 市場では鎬を削っていた両社だが、興味深いことに非上場化を選択した理由は似通っている。ホームページ(HP)や報道などによると、今後、国内での治験の減少が見込まれるなど事業環境が大きく変わろうとするなか、「非上場化し、迅速に構造改革を行う」(シミックHD)、「これまで以上に機動的な経営体制とする」(EPSHD)ことが目的だとそれぞれ説明する。

 依然創業者である中村会長、厳浩代表取締役がトップであることには変わりない。両社の投資家の声に左右されることなく、自らが掲げる理念、方針を貫こうとする狙いが透けて見える。