激変!3大士業の仕事&稼ぎ方 弁護士 会計士 税理士#1Photo:PIXTA

旧ジャニーズ事務所、宝塚歌劇団、ビッグモーター……不祥事の発覚した企業や団体が弁護士らによる調査委員会を立ち上げ、その報告書の公表により世間をにぎわす大騒動に発展するケースが近年頻発している。では実際に調査に携わることが多い法律事務所はどこか。ダイヤモンド編集部が集計したところ、四大法律事務所の牙城を切り崩す新興事務所の存在が浮かび上がった。特集『激変!3大士業の仕事&稼ぎ方』(全12回)の#1で、独自ランキングを初公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

2018年に調査委員会の設置件数が急増
新たな「市場出現」で弁護士業界に異変

「わが国製造業への信頼に影響を及ぼしかねない由々しき事態だ。事態の正確な把握、不正の原因究明、再発防止の対策に徹底して取り組んでもらいたい」

 日本経済団体連合会の会長だった榊原定征氏が記者会見でそう述べたのが、2017年10月のことである。当時、神戸製鋼所や日産自動車など製造業で不祥事が相次ぎ、「財界総理」が異例の苦言を呈した形だった。その前年には日本取引所自主規制法人が「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」を策定し、不祥事が発生した場合に最適な調査体制を構築するよう求めていた。

 そうした動きもあってか18年、かつてない現象が起きた。不祥事を起こした上場企業による調査委員会の設置件数が急増したのだ。ダイヤモンド編集部の集計によれば下図の通り、18年の設置件数は75件で前年から2倍以上に増えた。

 新型コロナウイルスの感染拡大で件数は一時的に減ったが、23年は再び増加に転じている。22年には榊原氏の出身である東レでも品質不正が発覚し、製造業への信頼に影響を及ぼすという「落ち」まで付いた。

 まさに新たな市場が形成されたといっていい。

 公認不正検査士の肩書を持つフロンティア・マネジメントの淺海充正シニア・アドバイザーは「ESG(環境、社会、企業統治)が浸透し、不祥事に対する社会の視線がますます厳しくなっている。今後、不祥事が劇的に減らない限り、調査委員会の設置件数は増え続けるだろう」と指摘する。

 気になるのは、社会的に増大する需要に対し、誰がサービスを供給しているかだ。結論から言えば、それは弁護士であり公認会計士である。特に弁護士にとってこうした危機管理ビジネスは、事務所経営を支える新たな収益源となりつつある。ある弁護士は「顧問弁護士に就くより、はるかに稼ぎが大きい」と明かす。

 そこでダイヤモンド編集部は、15~23年の9年間で、どの法律事務所の弁護士が上場企業の調査委員会で委員を受任しているかを集計した。その結果、所属弁護士数で他を圧倒する四大法律事務所の強みや弱み、新興事務所の台頭が判明した。次ページで事務所の実名入りランキングを公開する。