長年放置されていた違法行為は
企業にダメージを与えた

 筆者自身、かつて中堅のメーカーに勤めていた経験を持つ身として、現場長、中間管理職のつらい立場はよくわかる。しかし現場に近い中間管理職が声を上げなければ、会社はより大きな損失に向かって歯止めが効かなくなる。

 だとすれば、中間管理職の声を積極的に吸い上げる仕組みや人間的な度量が、組織幹部には必要なのではなかろうか。

 毛沢東時代の中国共産党は(今も基本的には変わらないが)、「エリートである共産党が人民を指導する」「エリートは間違えない」という仕組みになっていて、そのエリートを国民は選べない。そして共産党の指導者は間違いを指摘されると、指摘した者を排除する。結果、とんでもない損失が生まれる。

 私たちはこれを他山の石とすべきではなかろうか。現に、ノルマによって生まれ、長年放置されていた違法行為は、企業に大きなダメージを与えた。

 毛沢東の愚策とその失敗から、学ぶことは多い。