人の輪の中心にいて集団の中で快適に過ごせる人と、孤立してしまいストレスを感じ続ける人がいる。実は、どちらに転ぶかは紙一重の差で、両者を分けるのは、「たった一つのスキル」を発揮できるかどうかなのだ。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
自然と人が集まるリーダーと
孤立してしまうリーダーの違いは?
いつも人の輪の中心にいる人がいる一方で、周囲から孤立してしまいがちな人がいる。
周りの人々を巻き込むことができる人と、そうでない人――どちらのタイプになるかによって、その集団の中で、快適に過ごせるか、ストレスを感じ続けるかが左右される。
リーダーの場合は、さらに深刻だ。
周囲に人が集まってくるリーダーは、自然と人を巻き込むことができ、広い範囲で仕事の成果を上げやすくなる。一方、孤立してしまうリーダーは、メンバーや他部門との間で意思疎通が進まず、業務が停滞し、ひいては、軋轢(あつれき)や断絶が生じてしまう。チームの成果も上がらず、場合によっては組織存続にかかわる事態を招く。
人の輪の中心にいる人と、周囲から孤立してしまう人……この差は、いったい何なのか。
このように申し上げると、「人を引き付ける素質の差ではないか」「長年にわたり培ってきた経験や能力による」といった意見を耳にする。
「一朝一夕には身に付かないので、対処のしようがない」「配属ガチャ、上司ガチャの問題なので、異動して帰属集団を変えるしかない」「リーダーのなり手がいない」といったあきらめの声も聞こえてくる。
事実、「管理職になりたくない」人の割合は、一般社員の実に77.3%に上る(日本能率協会マネジメントセンターによる調査)。
こうした管理職になりたくない人の多くが、周囲を巻き込むことに自信がない、孤立するリスクを恐れているように、私には思える。
しかし、周囲を巻き込む人と、孤立する人の言動を観察して分解すると、両者の差は、たった一つのスキルを発揮しているかどうか、だけの違いだと分かる。