米大統領選「トランプ有利」の虚実、“民主主義の破壊者”か“既成政治の破壊者”かPhoto:Chip Somodevilla/gettyimages

「バイデンVSトランプ」の再戦
投票直前まで情勢は流動的

 11月の米国大統領選挙は、予備選の山場の「スーパーチューズデー」での圧勝を経て、民主党はバイデン大統領、共和党はトランプ前大統領が候補者指名を確実にし、前回大統領選挙に続く「再戦」の構図が固まった。

 どちらが勝つことになるのか。スーパーチューズデー直前の世論調査でも依然「トランプ氏有利」の情勢だが、筆者がスーパーチューズデー前後の3月、ワシントンに出張し多くの人と意見交換をしたところでは、大半が、実際に有権者が誰に投票するのかを決めるときには状況は変わることを強調した。

 トランプ氏は、大統領選挙と並行して米議会議事堂襲撃事件など4つの刑事訴訟の審理が進むことになり、バイデン陣営の強調する「民主主義の破壊者」のイメージがさらに強まり致命傷になる可能性がある。

 だがその一方で、熱狂的なトランプ支持層を生んだ米国の分断の背景にある、エリートによる既成政党政治への不信も根深い。

 深刻なのは、どちらが勝っても分断がさらに深まることだ。