リスク食材が危険な理由
実は、これらに共通している点がある。「日本人が歴史的にほとんど食べてこなかったもの」である。
これらは明治維新をきっかけに日本に入り始め、戦後にアメリカに食スタイルを押し付けられて大量流通するように。つまり、縄文時代から続く長い日本史においてはごく最近のこと。
当然、人体の進化はこの急激な変化に追いつかない。これらの食材は日本人の体に合わないため、消化器官をはじめとする内臓に負担をかける。
これらの「最小限にすべき食材」の、もう一つの共通点が「低コストで大量生産すべく、次のような不自然な方法で過度に手が加えられたもの」であること。
・劣悪な環境で育てられている
・抗生物質・ホルモン剤・農薬の過剰使用
・遺伝子組み換え(GM)リスクが高い
・行きすぎた品種改良がされている
・栄養価がなくなるほど精製されている
これらの食材には「中毒性・依存性」リスクがある点にも注意しよう。例えば「砂糖の大量摂取は、薬物乱用と非常に似た作用を脳に与える可能性」を示唆する研究もある(※7)。
依存症になってしまうと「食べないと不安」という禁断症状に陥らせるというから恐ろしい。
その理由はやはり、長い人類史が教えてくれる。わずか「昨日」まで狩猟生活を送っていた祖先の体は常に、カロリー不足にさらされていた。
人間の生存本能との闘い
特に足りなかった「糖質・脂質・塩分」を多く含む魅惑的すぎる食材を目の前にするたび、「次はいつありつけるかわからないから食い溜めしておけ!」と脳が命令を下す。
これは、長い進化の過程で、人体にインストールされた生存本能だから抗うことがとても難しいのだ。
ちなみに、これらの食材を避けることで原因不明だった不調やアレルギー症状が改善したという事例が続出している。
そして死亡率は下がり健康寿命は長くなるという(※6)。
地味に悪さをするのが、パンやパスタなどの原料③小麦粉に含まれるグルテンだ。小麦粉製品はハイカロリーなので誰もがつい食べてしまう。
消費者庁の調べでは、アレルギーを引き起こす食品として「1位:卵」「2位:②牛乳」「3位:木の実」に続き、「③小麦粉」は4位となっている(※3)。さらに、③小麦粉を使った加工食品には中毒性があるという(※8)。
これを避ける「グルテンフリーダイエット」とは、パンやパスタといった小麦粉製品を避けるだけで痩せるというもの(※9)。体質改善やアトピー軽減という現象が多発したため実践者が増えている。グルテンフリー食にしてパフォーマンスが高まり、テニス界の絶対王者となったジョコビッチ選手は有名だろう。
なお、精製された白い③小麦粉の栄養価は──精製された白米と同じで──とても低い。共に「食物繊維が入った白砂糖」と呼ばれるほどハイカロリーな高糖質で、血糖値を急激に上げるため注意が必要だ。
科学的根拠がない言説
「①肉を食べないと筋肉が付かない」とか「②牛乳を飲まないと背が伸びない」といった都市伝説を信じる人はいまだに多い。
これは、戦後のアメリカの酪農・食肉業界による国際市場拡大のためのプロパガンダの名残りと言われている。これは陰謀論でも何でもなく、実際にそういった資料が公開されている。
そもそも①赤肉と②牛乳のタンパク質の含有率は、魚介類や豆類、豆乳に比べて低い。「①肉食は成長に──②牛乳は身長に──無関係」という論文(※10, 11)があるなど科学的に否定されている。
そして、①赤肉とアレルギー食物1位の卵は、今や安全なものを見つけるのは難しい。異常な工業化が進み、9割以上が抗生物質と遺伝子組み換えの飼料を与えられているからだ。
オーガニック認証が付くものは、日本ではまだ希少で高価なため「①赤肉と卵の摂取量を減らした方が無難」というのが本書の提案である(ただし2023年3月現在、卵が重い疾病の原因になるかどうかの研究論争は決着していない※12)。
なお、①肉製品で最も危険なのが、ベーコンやソーセージ、ハンバーグなどの加工肉だ。世界保健機構(WHO)は「タバコと同等の健康被害がある」と断定している(※13)。