「アメリカ人は感情表現がストレート」は大間違い!意外と皮肉屋なことがわかる18の例文Photo:PIXTA

人との会話でストレートに言うと摩擦を生むような内容は、日本人だと建前を言ってしまいがちだろう。これがアメリカ人の場合、「ユーモアのある皮肉」を通して本音を伝えることがよくある。今回は、皮肉ユーモア表現を、シーンや目的別に18の例文で紹介する。このユーモア感覚が分かると、英語の世界が楽しく広がっていくこと間違いなしだ。(パタプライングリッシュ教材開発者 松尾光治)

言いにくいことを皮肉なユーモアで伝えるアメリカ人

 英語のコミュニケーションとは「事実や本音をストレートに伝えるもの」だと、日本では勘違いされがちだ。確かに、言外の意味を聞き手側が“察する”ことをしばしば期待される日本的なコミュニケーションに比べれば、英語でのやりとりはストレートかもしれない。

 だが、相手と反する自分の意見を伝える場合でも、必ずしも対決するようなモードで自己主張するわけではない。柔らかい言葉遣いや、相手への配慮を示す前置き(クッション表現)があるし、ほのめかす言い方をする時もある。また、目の前にいる相手を傷つけるようなことをストレートに言ったりするのは「マナー違反」であることは、どこの国でも同じだろう。

 アメリカでは、他人への否定的な評価や、自分が嫌でたまらないと感じることなど、ストレートに言いにくいことは、わざとポジティブな言い方で「皮肉なユーモア」に代えてしまう傾向が強い。

 例えば、あなたの同僚が別の同僚に関して下記のように言った場合、あなたはどう受け止めるだろうか?

Put him in charge of research, and he'll be the best in the company.
He’s wasting his talent in sales.
彼にリサーチを任せたら社内で一番だろうね。
営業をやらせるのはもったいないよ。

 もちろん文字通りに、「彼にリサーチ業務をさせるべきだ」との意見だと受け止めることもできる。ただし、本心では「あいつに営業を任せるとロクなことはないぞ」と言いたいのだ。

 文字通りの発言なのか、それとも皮肉なユーモアなのか――それは、表情や口調、特定の単語の強調で判断する。人によっては、両手の人差し指と中指をクィクィとするair quotesを使って「これ、皮肉だから」と伝えることもある。

 こうしたユーモアに慣れていない日本人に対して、アメリカ人は「真意が伝わらなかった」と拍子抜けしてしまう。日本人相手には、この手のユーモアを言わなくなる人も多い。

 どのようなユーモア感覚が発達するかは、その人の置かれた環境や文化背景に大きく影響されるだろう。たとえ他の文化圏のユーモアであっても、慣れれば笑えるようになるし、自分から言うこともできるようになる。ということで今回は、アメリカで多用される皮肉なユーモアの典型例を学んでいこう。