ホンダが4月から役員体制を変更する。貝原典也専務の副社長昇格が目玉で、社長と副社長2人による「トロイカ体制」となる。日産自動車との提携という重責を担う新体制を分析する。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
新型EV「サルーン」をお披露目
電動化戦略強化のため役員体制にもメス
「これがホンダの夢見るモビリティを具現化させたEVシリーズです」──。今年1月、米国ネバダ州ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で、ホンダの三部敏宏社長は、EVの「HONDA 0(ゼロ)シリーズ」についてこうアピールした。
従来、EVは長い航続距離を確保するためのバッテリーを搭載しているため重く、車体自体も大型化してきた。
お披露目したゼロシリーズの「SALOON(サルーン)」は、あえて重たいバッテリーを搭載せず、車体を低くして空力性能を向上させた他、新たに開発した電気変換効率の高い駆動システムを搭載して、航続距離を伸ばした。
新型EVは2026年の北米での販売を皮切りに、日本やアジアでも売り出す。三部社長は「単なる移動の手段から個々の感性に寄り添う存在へと昇華する」と語る。
三部社長は、電動化戦略を強化すべく、役員の体制にもメスを入れた。その目玉となるのが、北米地域本部長を務める貝原典也専務の副社長昇格だ。副社長が2人体制となるのは1998年以来、26年ぶりとなる。
次ページでは、副社長2人体制にした狙いと、貝原氏に期待されている役割について明らかにする。