円安ドル高を追い風に足元の業績が好調なホンダだが、中国市場の不振や、米ゼネラルモーターズとの量産型EV開発の中止など先行きに陰りが出始めている。EVシフトが加速する中、生き残ることができるのか。特集『ソニー・ホンダの逆襲』(全18回)の#5では、ホンダが抱える三つの大問題を洗い出すとともに、提携戦略のリスクに迫る。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
過去最高益はあくまで“追い風参考記録”
ホンダの失速リスクを大解明
ホンダの足元の業績は、数字だけを見れば好調だ。2023年4~9月期決算は、売上高が前年同期比18.9%増の9兆6093億円、営業利益は53.6%増の6965億円だった。
青山真二副社長は決算会見で、好調の理由について「高い利益率を維持した二輪事業に加えて、半導体不足の影響から脱した四輪車の販売が拡大したためだ」と語った。
好業績を受けて、ホンダは24年3月期の通期業績予想も上方修正し、売上高、営業利益共に過去最高を見込む。
だが、絶頂に見える業績は“追い風参考記録”にすぎない。前述の通り、半導体不足からの反動があったことに加え、円安効果によって上半期の営業利益が624億円も押し上げられているのだ。
むしろ、快走しているように見えるホンダは、急に失速しかねない重大な懸念材料を抱えている。
次ページでは、ホンダが抱える三つの大問題を洗い出すとともに、鍵を握る提携戦略に潜むリスクに迫る。