山口 家入さんは、ご自分で創業したPaperboy&co.(ペパポ)を2004年に売却して、GMOインターネット(当時はグローバルメディアオンライン)の連結子会社にしましたよね。実は僕もウェブサービスの会社を立ち上げて、その事業をGMOクリック証券に売却したんです。

家入 一緒ですね。売却後はどうしたんですか?

経営者と従業員の関係は「庇護」か「対等」か?<br />「お金による繋がり」へのスタンスはそれぞれ異なる

山口 その後は、留学したり、ベトナムにお店を作ったり、好きなことをやろうと頑張っている人を応援するために使いました。そんな浪人生活を2年間程送ってから帰国したわけですが、家を引き払ってしまっていたので住む場所がない。そこで、仲介サイトで見つけ出した早稲田の築60年の古民家に、売れないユダヤ人の役者さんとルームシェアで住むことにしました。

家入 意外だな。そんな感じには全然見えませんね。

山口 すごい家でしたよ。玄関のカギもネジ式で差し込むレトロなもので……。とにかく冬の寒さが辛かったですね。それはさておき、僕は浪人時代に築いてきたコミュニティから協力を得て、昨年末、再び同じ事業をはじめました。

家入 そうなんだ!僕もペパポを取り戻そうかな(笑)?

山口 だけど、家入さんはもう別の会社をいくつも立ち上げているじゃないですか。

家入 そうなんですけどね。何も考えずにやってきただけです。

 ペパポは2008年12月に、史上最年少でジャスダック市場への上場を果たしましたけど、翌年3月には代表取締役社長を辞めて現場に戻っちゃった。決算説明会などで、僕はつい言ってはいけないことまで喋ったりして、株価が下がったりしたからなんです(笑)。新たに代表取締役CCO(最高クリエイティブ責任者。音感がコロコロして可愛いから、と家入氏が名付けた造語)という肩書きになったんですが、それも2010年3月には返上しました。

 周囲からは「もうちょっと上場企業の社長というポストを楽しめばよかったんじゃないの?」と言われたけど、僕の役目は仕組みを作ることで、完成してしまったら仕事がなくなっちゃうんですよね。それで、次へ進もうと思って。