会社の人間関係は「ほどほど」でいい
また、親しくなることと、「円満につき合うこと」はまるで別の話です。親密度は、関係の度合いによって同心円を描くように広がっていきます。少数の親密な関係から、名刺を交換した程度の間柄まで、円の大きさはさまざまです。
ここで私が述べている「円満につき合うこと」とは、この同心円の大きさを把握し、それに沿って行動するということです。職場の先輩後輩の間柄の同心円は、お互いの力量を十分に発揮しつつ、関係にきしみが生じた時は角が立たない程度に解決していくくらいで十分。お互いに無理に好感を抱く必要などないという意味です。
職場の人間関係の「限界」を認める。無理をしない
こう言うとたいてい、「それじゃあまりにも冷たいのでは?」と反論されます。しかし私は、職場内の人間関係の限界を認めて受け入れられれば、むしろ相手に対して少し鈍感になれ、仕事に集中できるようになると考えています。
ひょっとしたら、そんな姿勢で働くうちに、相手に対して仲間意識を抱くようになるかもしれません。この時の仲間意識というのは、ひとつの目標に向かって走っていけるだけの信頼のおける相手に対して抱く感情です。
何か問題にぶつかった時に、「どうしてこの人とは反りが合わないんだろう」などと思い悩む必要はないのです。職場の人間関係では、お互いに配慮し、尊重する気持ちさえ忘れなければ十分です。
(本原稿は『もし私が人生をやり直せたら』から一部抜粋、追加加筆したものです)