海外富裕層がキャッシュで億ション爆買い!資産価値が「上がるエリア」の絶対条件とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

都心の高額物件を
爆買いする海外投資家たち

 インバウンド需要が今、再び活気を帯びている。日本政府観光局(JNTO)によると、2023年の訪日外国人旅行者数は2500万人余りとなり、新型コロナの感染拡大前、過去最高人数を記録した2019年の8割近くの水準まで回復しているという。さらに外国人旅行者が国内で消費した金額は約5兆2923億円となり、円安を背景にこちらも過去最高額となった。

 旅行や観光業界が活気を取り戻す中、国内の不動産投資・購入においてもインバウンド需要は広がりを見せている。国境を越えたクロスボーダーな不動産取引市場において、投資対象としての「日本」が人気を集めているからだ。

 例えば、世界最大手の事業用不動産サービス会社のCBREが示したデータによれば、過去5年間の取引総数は日本が1位であり、非常に魅力的な投資先であることがわかる。

 欧米はもちろん、シンガポールや台湾など多くの国々が「優良投資先」として日本に着目している。また最近は、東南アジア各国をはじめとする新興国の富裕層が日本の不動産を購入しているケースも目立つ。日本の投資家の場合、不動産の購入にあたって内見するのが一般的だが、海外から購入する投資家たちは、物件を見ずに購入するケースも少なくない。そして億超えマンションなどの高額物件を「キャッシュで一括購入」する傾向にある。

 また、投資目線で不動産を買う際、資産運用にあたって、期待できる収益、リターンを購入の指標とするのが一般的だ。しかし、海外投資家たちは、期待収益率、利回りはあまり気にしていないように見受けられる。彼らは収益性よりも、不動産の持つ「ポテンシャル」に着目して購入しているのだ。

「ポテンシャル」を有する不動産とは何かというと、限られたエリアにある物件を指す。具体的には、私たちが以前からお伝えしている、「3極化」の資産価値を有する上位エリアの不動産だ。

 あらためて「3極化」について簡単に触れておこう。現在、国内の不動産市場は、全体の10~15%が(1)「価格維持・あるいは上昇する地域」、70%が(2)「なだらかに下落を続ける地域大多数の地域」、10~15%が(3)「限りなく無価値・あるいはマイナスの地域」という3つに区分される。

 そして、資産価値が「上がるエリア」と「下がるエリア」の格差がどんどん広がっている日本の不動産市場において、海外投資家たちは(1)の価格が維持向上するエリアだけを狙って購入しているというのが特徴的な傾向だ。円安の今、お得に物件を購入し、将来的にはキャピタルゲインでプラスに持っていく、といった思惑も感じられる。

 3極化の(1)とは、利便性の高いエリア、つまり都心・大都市部、駅前・駅近、大規模、タワーといった場所になる。直近の人気物件といえば、昨年11月に誕生した大型複合施設「麻布台ヒルズ」などが挙げられる。最上階は、物件の最高価格が200億円以上ともいわれる桁違いの高級物件だが、海外投資家からの注目度は高い。

 軽井沢や白馬、北海道のニセコなどの例外はあるものの、海外投資家が選ぶのは都心の好立地であり、つまり「東京一強」の状況が続いていることになる。