それぞれ米国が日本と情報を共有するシステムで、「セントリックス-J」は、潜在的なターゲットの部隊配置や能力を常に最新のものに更新して共有します。「JICPAC」は、各自衛隊に提供されている情報で、北朝鮮のすべての港からの出入港状況などは毎朝、最新のものが自衛隊の情報担当幹部に届けられ、警察庁とも連携していて、北朝鮮の工作船の動向や要人の動向、核実験施設の動向などの情報も提供されています(もちろん北朝鮮だけではなく、中国やロシアについてもです)。

「JSECRE」は、共同で作戦する場合に共通して見る作戦図です。敵の位置、火力、規模、状況などが示され、日米の部隊の配置も示されます。これをもとに日米共同作戦は行われるのです。これらの情報は米軍の卓越した軍事衛星や早期警戒管制機などから集められたものですが、日本も米国には多大な貢献をしています。

 まず、日本列島に北から南まで「NEWS」システムを配置することで、列島そのものが巨大なレーダーアンテナとなり、北朝鮮や中国の情報を米軍側に提供できます。また、防衛省情報本部・電波部の大刀洗通信所ではアメリカ国家安全保障局(NSA)と共同運用する衛星通信傍受システムで、中国の通信衛星200基を同時に傍受できます。1時間で50万個のeメールとSNSを探知し、個人情報を収集してビッグデータに変換、大衆の動向を探るとともに、世論操作も試みています。

 小説風にわかりやすく書くと、最新の護衛艦「まや」が、中国の軍艦による巡航ミサイルの攻撃を受けたとします。これを米海軍の早期警戒機E2Dのレーダーが探知したなら、瞬時に「まや」の防空システムに情報が共有され、「まや」のレーダーが探知していなくても、米軍からのデータで対空ミサイルを発射し、中国のミサイルを撃墜できるのです。もちろん、日本側の早期警戒機も「まや」自身のレーダーも優秀ですが、自軍のレーダー探知圏外でも交戦できるデータリンクネットワークが、護衛艦や航空機にも備えられているということになります。

トランプリスクを前に
日米安保の深化は喫緊の課題

 日米安保は今、重大な岐路を迎えています。対中国、台湾有事を想定した場合、もっと連携を強化する必要があるのです。米国の新大統領にトランプ氏が就任した場合、忠実に日米安保条約を守るかどうかには不安が残るだけに、今のうちに国家間の協定により、縛りを入れなければなりません。
実際、米政策研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」は4日、超党派の有識者による日米同盟への提言『アーミテージ・ナイ報告書』で、威圧的な動きを強める中国の抑止を念頭に日米安保の「より統合された同盟関係への移行」を提唱しています。アーミテージもナイも、党派の違いはあってもアジア外交の専門家として影響力を持つ人物です。