富裕層 億万長者の実像#12Photo by Yoshihisa Wada

みずほフィナンシャルグループは他のメガバンクと同様に、富裕層ビジネスの強化にまい進している。ただし、その中核に銀行や証券会社ではなくみずほ信託銀行を据えている点は、他メガとは一線を画す。特集『富裕層 億万長者の実像』(全13回)の#12では、その真意について笹田賢一・みずほ信託銀行社長に聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

信託銀行は不動産事業が本業
富裕層ビジネスとの親和性は高い

――2024年4月に就任されてから、重点施策の一つとして富裕層ビジネスを挙げています。その背景は。

 日本にはさまざまな属性の富裕層がいますが、中心となるのは企業オーナーや地主の方々です。そして、その方々の資産構成を分析すると約7割が不動産、次に自社株だという特徴があります。

 信託銀行は不動産関連事業を本業としていますので、そもそも当行は富裕層ビジネスに親和性が高いのです。

 また企業オーナーの方が保有している自社株についても、当行は二つの側面でお手伝いができます。まず事業をどのように承継するかという経営者としての悩みには、事業承継のためのさまざまなサポートで対応します。また一族が保有する資産をどう引き継ぐかということについては、資産承継のコンサルティングなどで、悩みを解決するお手伝いができます。

みずほフィナンシャルグループでは今期、富裕層ビジネスを強化する中で、中核としての役割を担う傘下企業をみずほ信託銀行に定めた。一方で、同じく傘下企業であるみずほ銀行やみずほ証券はそれぞれ富裕層を顧客に持ち、サービスを提供している。どのようにグループ各社の事業や思惑を整理し、シナジーを追求しようと考えているのか。次ページで笹田賢一社長に、グループが描く青写真について話を聞いた。