富裕層 億万長者の実像#13Photo by Yoshihisa Wada

富裕層に選ばれるべく、大手金融機関が人員拡充や体制強化に乗り出している。富裕層向けのウェルスマネジメント事業で世界トップクラスの金融機関といえば、スイス発祥のUBSグループだろう。特集『富裕層 億万長者の実像』(全13回)の最終回では、在日代表の中村善二氏に日本での拡大戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

日本の江戸時代にスイスで発祥
富裕層に愛される銀行の強みとは?

――日本のメガバンクや証券会社など大手金融機関が富裕層ビジネスに注力していますが、UBSの強みとは何でしょうか。

 UBSの前身がスイスで設立されたのは1862年です。日本の江戸時代、世界中からスイスにお金が集まり、富裕層の資産管理・保全をサポートしてきました。その設立当初から伝統的に積み上げてきた知見とグローバルネットワークがわれわれの強みです。

――日本における富裕層ビジネスの難しさは何でしょうか。

 日本でウェルスマネジメントを始めたのは2004年です。日本にはもともと富裕層向けのサービスはありませんでした。

 従って海外の富裕層向けサービスを日本に持ち込むわけですが、そのモデルが日本ですぐに適応できず、海外とのギャップを感じました。

スイス発祥のグローバル金融機関、UBSが日本で富裕層向けのウェルスマネジメント事業を始めて20年がたった。彼らが当初感じた、「海外とのギャップ」とは何か。そして日本市場での拡大戦略とは――。中村氏が口にしたのは、UBSの口座開設に必要な最低預入額2億円の引き上げ検討を含む、驚きのプランだった。次ページで明らかにする。