インスリンが効きにくくなると、血糖値を下げるためにさらにインスリンが追加で分泌され、高インスリン血症になります。

 すると、腎臓では、糸球体でいったん排出されたナトリウム(塩分)を尿細管で再吸収するというメカニズムが働きます。そうなると、塩分をとり過ぎたときと同様、血中のナトリウム濃度が上がるので、それを薄めるために血液量が多くなり、血圧が上がってしまうわけです。

 それでは、Bさんのように内臓脂肪が多い場合、減塩と減量のどちらを優先させたほうがいいかというと、一番に取り組んでほしいのは減量、つまり内臓脂肪を減らすことです。内臓脂肪が多いままだと、尿中に捨てるはずのナトリウムが尿細管で戻されてしまうため、減塩しても効率が悪いからです。

 さらに、減量のために食べる量を減らせば、自然と塩分の摂取量も減ります。

 ラーメンや炒飯、丼もの、混ぜご飯などは、ご飯や麺に油や調味料が混ざって、塩分が多く、高カロリーになりがちです。メタボの人は、そうしたものが好みの場合も多いので、それらを食べる機会を減らすだけでも、減量と減塩の両方につながります。

 内臓脂肪が減るとインスリンの効きが良くなり、ナトリウムの排出も進みます。リバウンドしないように1カ月に1kg程度のペースを守って、「体重3%減」を目標に内臓脂肪を減らしましょう。

干物は塩分含有量が多く要注意
食パンですら油断できない

 減塩のコツは、食べる量を減らす以外にもあります。

 食品に含まれる塩分は調理方法による違いも大きく、干物など水分が抜けているものはどうしても塩分が高くなります。高血圧の人は、干物などはなるべく避けたほうがいいでしょう。一方、サケやサバの缶詰は、塩分が一見高そうですが、しっかり味がついている割に塩分が少ないものが多いので、うまく利用するといいでしょう。

 加工食品を購入する際には「食塩含有量」をチェックしてください。血圧を上げないためには1日6g、1食2g以下を目標にしてください。