しかし、どこかの時点で堰を切ったかのように、それまで蓄積していた知や情報が繋がり、僕のアイデアとなり噴き出していった。行動に繋がっていった。

 書籍の企画やプロデュースなどの結果を見て、僕が次から次へと新しいことを思いついているかのように見えるかもしれないが、あのころ徹底的に吸収していたものが大きい。

「知ってる」と「知らない」の差
この先は情報に敏感な耳を作れ

 だから僕は、ビジネス書を読んでも意味がないとか講演会なんかに行く暇があったら仕事をしろという声を聞いたときに反論する。「実際に手を動かすほうが価値はあるが、これからの世の中がどこに向かうのかを知っているということも極めて重要だ」と。

 特に、ここ最近はそれが顕著になっている。

「知っている」と「知らない」の間にとてつもなく太い川が流れているのだ。

 NewsPicks Bookがどれだけ売れようが、世間の人は前田裕二も佐藤航陽も知らない。

 ホリエモンと落合陽一をサンジャポの人として認知しているくらいだろう。

 スマホによって世間は分断された。

 昔のように家族で同じテレビ画面の前に座り、会社や学校で昨日の番組について話題にすることはなくなった。今の人はスマホという小宇宙の中で生きている。スマホは飼い主が見たいものしか差し出さない。ゲームが好きな飼い主にはゲームを、ゴシップが好きな飼い主にはゴシップを。バカはますますバカになる。

 フィリピンで果物を売っている商人と日本人の間にある情報格差は、日本人の中でも同様に存在するのだ。

 恵まれたこの国に生まれながら、スマホという世界中の情報を知ることができるツールを持っていながら、「意識高い系」などと他人を揶揄し、知ることすら敬遠する愚かな者になってはいけない。