『死ぬこと以外かすり傷』の著者で編集者の箕輪厚介氏が、9月15日に『かすり傷も痛かった』と『怪獣人間の手懐け方』を2冊同時刊行。『怪獣人間の手懐け方』は発売前の段階で累計2万5000部を突破し、早くもベストセラーになるなど注目を集めている。本の刊行を記念し、箕輪厚介氏と『プロセスエコノミー』の著者でIT批評家の尾原和啓氏が対談を実施。後編で語られた『かすり傷も痛かった』の本質とは?
■尾原和啓×箕輪厚介 対談前編▶ベストセラー編集者・箕輪厚介が「飲み会なんて行かずにSNSを見ろ」と断言する理由
時代の脈拍を読む
尾原和啓氏(以下、尾原):今回、本の予約を2週間遅らせたじゃないですか。
箕輪厚介氏(以下、箕輪):1カ月くらい前に「予約を開始しましょう」となっていたけど、まったく風が吹いていなかったから、本が出ても話題にならないなと思って。2週間遅らせて、この2週間の間に風を起こそうと思いました。
風を起こすには風を見ないといけなくて。「今みんなはどういうことが刺さるのかな。この切り口かな」というのを僕なりに言語化して、キャッチコピーにしていったんですよ。
尾原:「風を見る」というのはすごく大事ですよね。僕が住んでいるシンガポールには手だれの投資家がいて。僕と圧倒的に感覚が違うのが、彼らは投資の脈拍をずっと見ているから、「こういう風が吹いているんだな」とわかるんです。
箕輪:いい言葉。それは「時代の脈拍」みたいなことかもしれない。この脈はどこで打っているか。そこを感じて、乗るのかズラすのか。
それに乗れないなと思ったら、例えばGO三浦(崇宏氏)が「Z世代」をやたら押し出してる。僕としては「うるせえな」と。つまり乗るも反るもどちらでもいいんです。脈が打っていることを知っておく。
僕はすごく意地悪なので、あのムーブメント自体をオワコン化させようと思って、GO三浦のことを「日本Z世代協会会長」と呼んだり、「GO三浦率いるZの戦士たち」と言ったりしています。
尾原:群れたがらない、個から始めたい世代に対して、群れを作っちゃう(笑)。
箕輪:脈を打っているということは、そこに違和感を感じてる人も裏側にはいて。広告はマーケットを見るのが仕事だけど、出版は個体を相手にするのが仕事なので、ムーブメントを感じて、そこに乗れない個体のモヤモヤみたいなのをすくい上げていく。