後発品の品質問題が相次いだことで、信頼回復に力を入れている日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)だが、会員会社の足並みは揃っていない。
「全社受けていただきたい、という思いをもって取り組んでいる。全社が十分取り組んだというにはまだまだ足りないが、どういった理由で受けられない、受けようとしないのか、しっかり各社にお聞きするなかで促していく」
こう胸の内を明かしたのは、GE薬協の高田浩樹会長(高田製薬社長)だ。3月29日に都内で開いた会見では、以前から取り組んでいる信頼回復の各施策について説明。そのなかで世間の信用を得るうえで、より効果的ともいえる「製造所の外部機関による監査」が進んでいないことへの記者の問いに高田会長が吐露した。
これまで小林化工をはじめ、日医工、長生堂製薬、共和薬品といった会員会社でさまざまな不正が露見し、不正レベルに応じてそれぞれ業務停止処分などが下された。先鞭を切った小林化工の一件以降、GE薬協は各社に自主点検を口酸っぱく呼び掛けてきたにもかかわらず、この体たらくと言える。長年閉鎖的な組織のなかで不正が横行してきたため、急に改められるものではなかったのだろう。それ故に、第三者による外部監査は、地に落ちた後発品の信頼を再び得るには格好の手段のはずだが、会員会社の腰は重い。本誌が会見の事前に入手した内部資料によると、会員会社の約半数に当たる33社中17社が未実施だった。
「外部監査をしないで、信頼性を担保する別の方法があるのであれば教えてほしい」
こう憤るのは、GE薬協関係者だ。製造所の管理体制について外部監査を受けるよう再三にわたって、会員会社に促してきたという。実際に外部監査を受けた会社の事例を挙げて、監査のメリットを紹介する説明会を開催した。このほか、監査を受けるよう要請する会長名義の文書も計3回発出しているうえ、3月27日の臨時総会でも外部監査の話題が上った。それにもかかわらず、約半数が未だ行動に移していない状況にある。同関係者は未実施会社に対して「何かやましいことでもあるのか」と語気を強める。
冒頭の発言のように、高田会長も未実施会社を憂いているが、実施の判断は各社に委ねている。3月29日の会見によると、外部監査は、GE薬協が取り組む信頼回復の施策のうち「品質を最優先する体制の強化」の一環にあたる。22年度に特定非営利活動法人「医薬品・食品品質保証支援センター」(NPO―QAセンター)の支援を受け、製造所の管理体制を確認する取り組みを構築し、会員会社に取り組むように「推奨」している。配布資料には「3月現在、会員企業13社15製造所(日医工を除く)が本取り組みに参加」と記載され、高田製薬など会長・副会長・理事会社のほか、後発品大手が名を連ねた。