財政健全化目標を廃止!?自民積極財政派が掲げる「MSSE」の“いいところ取り”は許されないPhoto:PIXTA

「骨太24」での財政政健全化目標
積極財政派と健全財政派の論争再燃

 日本銀行が17年ぶりの利上げで金融政策の正常化に踏み出し、国債利払い費の増加が見込まれる中で、新たな財政健全化目標をどうするのか、6月の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針2024)」策定に向けた議論が始まった。

 現在の財政健全化目標は、フローの目標としての「2025年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支(国債に依存せず税収などで政策的経費を賄えているかを示す指標、プライマリーバランス、以下PB)の黒字化」と、ストックの目標としての「債務残高対GDP(国内総生産)比の安定的な引き下げ」の2つで、これをよすがとして毎年の予算編成が行われている。

 自民党内では、骨太方針でこの財政健全化目標を外したい財政積極派(西田昌司参議院議員を本部長とする財政政策検討本部)と維持・拡充したい財政健全派(古川禎久元法相を本部長とする財政健全化推進本部)のそれぞれの議論が行われている。

 長年のデフレ経済からようやく脱却の兆しが見えてきた日本経済の成長をさらなる財政政策で確実にしたいという考え方と、金利ある世界が来つつある中で、財政健全化目標にコミットすることで財政への信認を取り戻したいとする考え方の対立だ。

 とりわけ積極財政派が強調するのが、財政支出による成長戦略だ。だが果たして有効な策なのか。