長期金利、2026年末には3.5%?
政府の「金利ボーナス」享受は終わりに
日本銀行がマイナス金利を解除し、17年ぶりの利上げで金融政策の正常化に乗り出した。
今後、追加利上げがどのようなペースで行われるかが焦点だが、「金利のある世界」の実現で、懸念されるのは最大の債務保有セクターである政府部門(財政)への影響だ。
これまで歳出の増加に歯止めがかからず、「ワニの口」とも呼ばれるように歳出が税収を大きく上回る状況が毎年のように続いた結果、国の公債残高(普通国債残高)は増加の一途をたどり、2022年度末時点実績で1027兆円まで増加している。対GDP(国内総生産)比で見ると181%(中央政府・地方政府・社会保障基金を合わせた一般政府ベースで260%)と、先進国では突出している。
政府がすでに巨額の債務残高を抱えている状況で金利が上昇すれば、政府の利払い費が大幅に増加してしまうことは想像に難くない。実際、3月28日に成立した24年度当初予算では、長期金利上昇を受けて想定金利が1.1%から1.9%に引き上げられ、国債費は27.0兆円と昨年度当初予算から約1.8兆円増加した(うち、利払い費は9.7兆円と約1.2兆円増加)。24年度予算は財政運営が局面変化を迎えつつあることを印象づける。
これまでは、金融緩和政策により金利が低位に維持されたことで公債残高が増加する中でも国債費の増加が抑制される「金利ボーナス」を政府は享受してきた。
だが今後、日本銀行が金融正常化を進めた場合、長期金利は26年末には3.5%程度まで上昇する可能性がある。筆者の試算では、長期金利が名目成長率を上回り、このままでは政府債務残高の対GDP比が「発散(増加)」して財政破綻が現実のものになりかねない。
金利の正常化に合わせた「財政の正常化」(補正予算編成の常態化を是正する等)の議論を急ぐ必要がある。