フォロー
金山隆一
ホルムズ危機が世界の石油供給を揺さぶっている。中東のペルシャ湾と外洋を結ぶ原油輸送の大動脈が不安定化し、改めて存在感を増しているのが、ブラジル、ガイアナなど南米東岸と西アフリカの深海油田だ。そのエリアを中心に“海に浮かぶ石油工場”ともいえるFPSO(浮体式原油生産・貯蔵・出荷設備)開発で世界2強の一角を占めるのが三井海洋開発である。建造から長期の運転・保守までを含む受注残は約4兆円にも上り、巨大な需要は日本の造船業にも成長を取り込める可能性がある。本稿では、同社が世界2強にのし上がった経緯を解説。また、海外のFPSO需要増が日本の造船復興につながる可能性にも迫る。

#31
化学最大手、三菱ケミカルグループの大胆な構造改革がほぼ一巡した。製薬子会社だった田辺三菱製薬(現田辺ファーマ)の売却をはじめ、石油化学や製鉄用コークスなどの基礎素材でも事業の整理・再編を断行し、2026年度からは「攻め」に転じる。だが、市場の評価は厳しい。筑本学社長に構造改革後の今後の戦略に加え、石化再編の行方、産業ガス子会社の日本酸素ホールディングスとの「親子逆転」問題などを直撃した。半導体材料のJSRの買収についても意欲をにじませた。

レゾナック・ホールディングスは、「小が大をのむ」買収で巨額の負債を抱えたが、足元ではAI・半導体銘柄として注目が集まっている。ダイヤモンド編集部は2年前に同社の染宮秀樹CFO(最高財務責任者)に旧日立化成の巨額買収で膨らんだ負債の圧縮策や、石油化学事業の分離方針の狙いを尋ねた。前回のインタビューから2年。染宮CFOに金利のある世界での財務戦略や、石化事業分離の意義などについて改めて聞いた。また、レゾナックの名前も取り沙汰された、半導体材料大手、JSRの買収の可能性についても直撃した。

#32
国内の化学大手がエチレン製造設備の統廃合に動く中、あえて石油化学専業会社が株式市場へ船出する。クラサスケミカルは9月29日、レゾナック・ホールディングスからのパーシャルスピンオフ(部分分離)を通じて、東京証券取引所に上場する。本稿では、福田浩嗣社長に公募なしの直接上場と安定配当で市場に挑むクラサスの勝算や大分コンビナートの競争力、石化再編の受け皿となる可能性などについて聞いた。

#30
三菱ガス化学は2026年3月期に800億円を超える減損損失を計上し、最終損益が約400億円の赤字に沈んだ。13年ぶりの赤字転落となったが、株価は赤字見通しを発表した昨秋から上昇基調となり、足元の株価も昨秋に比べ5割前後高い水準にある。背景には、半導体材料や光学樹脂材料など利益の約8割を稼ぐICT(情報通信技術)分野の好調がある。同社で初めて研究開発畑から社長に就いた伊佐早禎則氏を直撃し、同社の強みに加え、次の収益の柱について語ってもらった。また、前期の赤字転落の原因となった海外プラント工事からの撤退の裏でどのような経営判断があったのかについても明かしてもらった。

千代田化工建設が、巨額損失で業績が乱高下する従来型ビジネスとの決別を鮮明に打ち出している。超大型案件のリスクを一社で抱える仕事の取り方を変えるほか、国内の医薬・ライフサイエンスや先端素材を安定収益の土台とし、全固体電池材料などを次の収益源に育てようとしているのだ。本稿では、同社の太田光治社長を直撃し、「二度と昔には戻らない」と掲げる改革の全貌に迫った。三菱商事の支援を受けてきた経営再建の区切りや配当政策などに加え、後継者の選定についても聞いた。

#31
化学最大手、三菱ケミカルグループの大胆な構造改革がほぼ一巡した。製薬子会社だった田辺三菱製薬(現田辺ファーマ)の売却をはじめ、石油化学や製鉄用コークスなどの基礎素材でも事業の整理・再編を断行し、2026年度からは「攻め」に転じる。だが、市場の評価は厳しい。筑本学社長に構造改革後の今後の戦略に加え、石化再編の行方、産業ガス子会社の日本酸素ホールディングスとの「親子逆転」問題などを直撃した。半導体材料のJSRの買収についても意欲をにじませた。

AI・データセンターの急拡大やエネルギー安全保障を背景にLNG(液化天然ガス)プロジェクトがグローバルで動いている。日本の日揮ホールディングスと千代田化工建設は大型LNGプラントの設計・調達・建設を遂行できる世界でも指折りのコントラクターだが、大型プロジェクトの損失で全社業績が沈む経験も重ねてきた。では両社は空前のLNGブームを前にどのような戦略を描いているのか。本稿では、世界で活発化するLNGプロジェクトのリスクと課題に加え、両社のLNG戦略を分析する。

世界的な大型プラントのリスク増大に、専業エンジニアリング3社はそれぞれ異なる答えを出し始めた。東洋エンジニアリングは「造って終わり」からの転換を掲げ、千代田化工建設は超大型LNG(液化天然ガス)プロジェクトを1社で抱えるビジネスとの決別を鮮明にした。では、最大手の日揮ホールディングスはどうするのか。本稿では、佐藤雅之会長兼社長CEO(最高経営責任者)に日揮が描く独自の成長戦略と業界再編の可能性などを聞いた。

#30
三菱ガス化学は2026年3月期に800億円を超える減損損失を計上し、最終損益が約400億円の赤字に沈んだ。13年ぶりの赤字転落となったが、株価は赤字見通しを発表した昨秋から上昇基調となり、足元の株価も昨秋に比べ5割前後高い水準にある。背景には、半導体材料や光学樹脂材料など利益の約8割を稼ぐICT(情報通信技術)分野の好調がある。同社で初めて研究開発畑から社長に就いた伊佐早禎則氏を直撃し、同社の強みに加え、次の収益の柱について語ってもらった。また、前期の赤字転落の原因となった海外プラント工事からの撤退の裏でどのような経営判断があったのかについても明かしてもらった。

千代田化工建設が、巨額損失で業績が乱高下する従来型ビジネスとの決別を鮮明に打ち出している。超大型案件のリスクを一社で抱える仕事の取り方を変えるほか、国内の医薬・ライフサイエンスや先端素材を安定収益の土台とし、全固体電池材料などを次の収益源に育てようとしているのだ。本稿では、同社の太田光治社長を直撃し、「二度と昔には戻らない」と掲げる改革の全貌に迫った。三菱商事の支援を受けてきた経営再建の区切りや配当政策などに加え、後継者の選定についても聞いた。

大型プラントの受注と完工に業績を左右され、ひとたび案件がつまずけば巨額損失を抱える――。プラントエンジニアリング会社が長年背負ってきたビジネスモデルの課題の克服に、東洋エンジニアリングが正面から挑んでいる。細井栄治社長が掲げるのは、プラントのEPC(設計・調達・建設)ビジネスを「造って終わり」にせず、運転・保守、増設、更新まで顧客と伴走する「共創型」モデルへの転換だ。細井社長に東洋エンジニアリングが目指す「超安定経営」の要諦を聞いた。

#29
2023年度に3000億円超の最終赤字に沈んだ住友化学は構造改革を進めてきた。足元ではナフサショックや国内の石油化学再編など経営環境の激変が続くが、25年4月にトップに就いた水戸信彰社長は世界トップ級の創薬力を持つ農薬事業と、最先端の半導体材料への集中投資を加速させている。水戸社長に改革の進捗に加え、「新生・住友化学」を見据えた2300億円の戦略投資の方向性、製薬子会社の住友ファーマの将来像などを聞いた。

#28
「2026年度はエポックメイキングな年になる」――。25年、ダイヤモンド編集部の取材にそう語った三井化学の橋本修会長(当時社長)の予測は、この一年で現実になり始めた。三井化学は25年に石油化学事業の分社化を決め、26年初めには三菱ケミカルグループなどとのエチレン製造設備集約を発表した。三菱ケミカルも石化事業を分社化する方針を打ち出し、日本の石化業界で歴史的な構造改革が一挙に進んだ。ところが、橋本会長は石化再編の「本番はこれからだ」と明言する。橋本会長を直撃し、発言の真意を語ってもらった。

#26
三井化学は石油化学事業の分社化を打ち出すなど石化再編を主導してきた。2026年4月には、石化再編の実行に向けて、橋本修会長、市村聡社長の新体制に移行した。ただし、石化再編で大きく会社の形を変える三井化学は何で稼ぎ、どう成長していくのか。4月に社長に就任した市村氏を直撃。石化再編の「次」に描く成長戦略を聞いた。

脱炭素と地政学リスクの変動を背景に、鉄スクラップの価値が世界的に高まっている。高炉から電炉へのシフトが進み、かつて「廃材」だったスクラップは、各国が囲い込む“都市鉱山”へと変わりつつある。こうした中、豊田通商は2025年、米スクラップ大手を約1300億円で買収した。赤字企業への巨額投資は高値づかみなのか、それともEV(電気自動車)時代を見据えた資源戦略なのか。豊田通商が狙う「自動車循環網」の実像を追った。

脱炭素と地政学が鉄鋼産業の勢力図を変え始めている。高炉から電炉へのシフトが進み、その主原料である鉄スクラップは、単なる廃材から各国が囲い込む“都市鉱山”へと変わりつつある。こうした変化を20年近く前から見据えていたのが三井物産だ。長らく「失敗投資」とみられてきた豪・米シムズへの出資から撤退しなかった背景には、次代を見据えた長期戦略があった。鉄鉱石の王者が仕掛ける“次の鉄資源”への布石に迫る。

2026年5月1日、住友商事は長年苦戦を強いられたマダガスカルのニッケル開発事業「アンバトビー」からの完全撤退を断行した。累計損失は4000億円規模に達し、撤退に当たっては逆に資金を支払って事業を譲渡するという異例の幕引きとなった。経済安全保障の重要資源とうたわれながら、なぜ20年もの間、巨額の赤字を垂れ流すプロジェクトを止められなかったのか。官民一体となった「国策」故の“やめられない構造”と、資本市場を意識する経営への転換を迫られた住友商事の苦悩を、経営幹部らの証言から浮き彫りにする。

2050年のカーボンニュートラルの実現、そしてホルムズ海峡危機というエネルギー安保の荒波を受け、原子力発電が再び世界の中核に躍り出ようとしている。しかし、この巨大なエネルギーシフトの裏側で、人類は「核のごみ(高レベル放射性廃棄物)」という未解決の課題を抱えたままだ。地層深くに埋めたとしても、天然のウラン並みの放射能レベルにに下がるまでに数万年という時間を要する負の遺産。この絶望的な年月を「300年」へと短縮し、さらにはエネルギーへと変える革新的な技術が今、実用化に向けて動きだしている。鍵を握るのは、核のごみを無害化しながら発電する「加速器駆動型未臨界炉(ADS)」だ。長年その実現を阻んできたのは、装置の心臓部を流れる「液体金属」による激しい腐食だった。この停滞に終止符を打ったのが、東京科学大学の近藤正聡准教授が発見した「自己修復する合金」である。大学発のスタートアップ「Lead accel」を設立し、原子力の出口戦略を根底から塗り替えようとする近藤氏に直撃インタビューした。

「1キロワットアワー(kWh)当たり100円」。2026年3月、京都フュージョニアリングの小西哲之会長CEOが示したこの数値は、エネルギー業界に衝撃を与えた。既存電力の実に「約10倍」という異例の高コストだが、小西氏は「この初号機こそが、日本の停滞を打ち破る転換点になる」と言い切る。技術の力で海水から無限のエネルギーを創出する核融合は、かつて「実用化は常に50年先」とやゆされてきたが、民間スタートアップの手で今、現実の時間軸に引き戻されつつある。資源依存からの脱却、産業再編、脱炭素の決定打――。資源なき国・日本が「エネルギー輸出大国」へと転じる、その逆転のシナリオについて小西会長に話を聞いた。
