クレディセゾンPhoto:kyodonews

「積み立て王子」との異名で呼ばれた中野晴啓氏が再始動した。セゾン投信時代から、パッシブ型ファンドを運用してきたが、新たに立ち上げた2本のファンドはいずれもアクティブ型。中野氏の投資哲学を知る人からは、変節したように見えるが、実際はどうなのか。「セゾン投信問題・後編」で詳しく見ていこう。(共同通信編集委員 橋本卓典)

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中野氏は変節したのか?

 日本に積み立て投資を根づかせ、積立王子として名を馳せた中野晴啓氏が、新たな独立系資産運用会社「なかのアセットマネジメント」(東京)を設立し、4月25日にファンドの運用を開始した。

 運用する投資信託は2本。いずれも独自の銘柄選定で積極的に好成績を狙うアクティブ型だ。

 今後、成長が期待される日本企業20~30社に投資する「なかの日本成長ファンド」と、世界の産業界をリードし、成長性ある割安な外国企業に分散投資する「なかの世界成長ファンド」である。販売手数料はいずれも無料。運用管理で発生する信託報酬は日本成長ファンドが年1.1%、海外成長ファンドが同1.3%程度だという。

 この転身に中野氏を知る投資家の中には驚いた者も少なからずいたはずだ。これまでの中野氏のイメージとそぐわないようにも見えるからだ。

 直販によって販売手数料をゼロとすることで、低コストファンドを生活者に提供してきた草分け的存在が中野氏である。セゾン投信で育ててきた「セゾン・グローバルバランスファンド」も、マーケットに連動するパッシブ型ファンドであった。このため「アクティブ型と中野氏のイメージが結びつかない」と一部の投資家が困惑するのも仕方がないようにも見える。中野氏は変節したのか。