大和証券Gがあおぞら銀行らと提携、合従連衡を加速させた証券業界の「2大変化」とはおぎの・あきひこ/1966年、静岡県生まれ。89年早稲田大学理工学部卒業、大和証券入社。2024年4月より現職 Photo by Yoshihisa Wada

大和証券グループ本社が5月、あおぞら銀行、かんぽ生命保険との資本業務提携を相次いで発表した。アライアンスを加速させる背景には、証券業界が直面する「二大変化」がある。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

米国不動産で巨額損失のあおぞら銀行
2月打診から「急転直下」の提携へ

 まさに急転直下の提携だった。「うちに提案を出してもらいたいと要請があったのは2月の下旬ごろ。そこから2カ月程度で決めた」。大和証券グループ本社の荻野明彦社長がダイヤモンド編集部の取材に応じ、あおぞら銀行との資本業務提携に至った交渉の端緒についてそう明かした。

 2月といえば、あおぞら銀行が米国オフィス向け融資で300億円を超える引当金を計上し、15年ぶりの赤字転落を公表したタイミングだ。米国金利上昇で評価損を抱えていた外国債券の損切りも余儀なくされ、同じ頃、旧村上ファンドの村上世彰氏が関わる投資会社があおぞら銀行の株を買い集めていた。

 自己資本比率が国内基準の9%を割り込み、株価下落がアクティビストを呼び込んだ危機に直面し、あおぞら銀行が救済を求めたのが大和だった。あおぞら銀行が実施する第三者割当増資に応じる形で大和が519億円を出資。大和はあおぞら銀行の株式の15%余りを取得し、旧村上ファンドを抜いて筆頭株主となる。

 あおぞら銀行救済の色合いが強い提携に、果たして大和の利はあるのか――。今回の提携を後押しした証券業界の「二大変化」に迫り、さらに荻野社長が考える「次の一手」を次ページで明らかにする。