みさき 掛金額も運用商品も自分で設定するんですね。

井戸先生 はい。その後、60~75歳までの間に運用したお金を老齢給付金として受け取ります。iDeCoは私的年金ということで、60歳まで引き出しができないのが大きな特徴です。引き出し時の受取方法には、分割で受け取る「年金方式」と一括で受け取る「一時金方式」、その2つを組み合わせた場合の3パターンがあります。

もえ iDeCoは、税制優遇が手厚いことでも有名ですよね。

井戸先生 その通りです。新NISAの税制優遇が運用時に限られるのに対して、iDeCoでは、拠出時、運用時、受取時の3つのタイミングでそれぞれ税制優遇を受けることができます。特に積み立てた金額は全額所得控除の対象となり、年末調整などで申告すると、税金(所得税・住民税)が軽減されるというメリットがあります。

みさき でも、私はiDeCoを始めても60歳まで引き出せないという点がちょっと気がかりだな?。

井戸先生 そうですね。それなら、 iDeCoは鍵のかかった金庫の役割もしてくれると考えたらどうでしょう。みさきさんのように、貯蓄が苦手な人にうってつけの制度なんですよ。

もえ ただ、途中で引き出すことができないということは、もしまとまったお金が必要になっても、iDeCoで積み立てているお金は使えないということですよね?


井戸先生 ご指摘の通りです。そのため、まだ日常の生活費にそこまで余裕のない20代のおふたりの場合、急いでiDeCoを始める必要はありません。無理して老後のお金を貯めるより、30代までは新NISAでマイホーム購入費や結婚費用などの準備をして、iDeCoはライフイベントの目処が立つ40代からスタートするのもよいでしょう。

みさき なるほど。私はまだ貯蓄も少ないし、新NISAを優先して始めることにします。

井戸先生 新NISAはライフイベントごとに引き出しながらも、積立はやめず、最終的には60歳以降の生活資金として活用するとよいでしょう。一方、iDeCoは40代くらいから65歳まで積み立て続け、退職後の生活費や介護資金用などとして準備しておくのもいいですね。

もえ お金に困らない老後を送るためには、2つの制度を上手に活用することが重要なんですね!