巨大外資を差し置いて日本で最強アクティビストの異名をほしいままにしてきたエフィッシモ・キャピタル・マネジメントに、かつての勢いがなくなってきた。一方、株価下落を狙う新手のファンドが日本企業に狙いを定めている。特集「アクティビスト日本襲来」(全12回)の#7では、彼らの知られざる実像に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 布施太郎)
買い占められた川崎汽船
社外取締役受け入れ
今年6月の定時株主総会。4年近くに及ぶ長い闘争が一つの転機を迎えた。川崎汽船が筆頭株主のアクティビスト、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントから社外取締役を受け入れたのである。株主総会で川崎汽船の明珍幸一社長は、株主からの質問に答えて「事業投資やガバナンスに関する知見がある。有益なアドバイスをもらえる」と、受け入れのメリットを強調した。
だが、この言葉を額面通りに受け取る市場関係者は少ない。「実質は株主の軍門に下ったということだ。株式市場は歓迎だが、経営陣は苦渋の決断だろう」と、国内運用会社のファンドマネジャーは分析する。
2015年に政府が導入したコーポレートガバナンス・コードの浸透で、取締役による経営に対する監督の目は厳しくなった。さらに、旧村上ファンドの幹部たちが立ち上げたことで知られるエフィッシモは、投資先企業に対するアグレッシブな提案活動が真骨頂だ。「社長が自分のお友達から選ぶ社外取締役とは訳が違う。厳しく経営に注文を付けるのではないか」(前出のファンドマネジャー)との観測が広がるのも無理はない。
真綿で首を絞める買い占め策
約40回にも分散
川崎汽船はどのようにエフィッシモに追い込まれていったのだろうか。