アクティビストの本場、米ニューヨーク。この地に本拠を構える大物アクティビストたちが今、日本株への投資を本格化させようとしている。既に彼らのターゲットとなった大企業も多く、アクティビストの動向次第で株価が動くことも珍しくない。特集「アクティビスト日本襲来」(全12回)の#6では、「欧米アクティビストvs日本企業」の最新情勢を報告する。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
アクティビストを取締役として受け入れ
“災いを転じて福”となしたオリンパスの戦い
「会社が今、本当に企業変革をしなければならない中で、非常に有用なアドバイスをもらっている。一言で言えば、とても助かっている」
オリンパス社長の竹内康雄氏が、「アドバイス」を受ける相手と語るのは、大株主の米アクティビストファンド、バリューアクト・キャピタル・マネジメントから送り込まれた取締役のことだ。
オリンパスは今年6月の株主総会で、バリューアクトのパートナー、ロバート・ヘイル氏と、元アドバイザーのジム・ビーズリー氏を新たな取締役として受け入れた。いずれもバリューアクトが推薦していた人物だ。
新たな経営体制の下、オリンパスは11月6日に経営改革プランを公表、その記者会見の席上で竹内氏はヘイル氏らについて「一流の分析能力があり、われわれの根本的な課題に関わるいろいろな指摘をしてくれている。取締役会としてガバナンスが利いている状態がどういうものか、まさに体感している状態」と語った。
オリンパスといえば、バブル期の財テク投資で失敗した巨額の損失を10年以上にわたって隠蔽し、その不正を追及しようとして2011年に社長に就いたマイケル・ウッドフォード氏を突然解任するなど大スキャンダルを巻き起こした企業だ。その後も中国子会社の贈賄疑惑や米国の十二指腸内視鏡の感染問題などが表面化し、「内部統制がぼろぼろの不祥事“常連”企業」(業界関係者)の烙印を押されてしまった。
一方、バリューアクトはヘルスケア業界に強みを持ち、これまで米マイクロソフトなど40社以上に取締役を送り込んだ実績を持つ。