アクティビスト 日本襲来!#04Photo:Paper Boat Rreative/gettyimages

変容する物言う株主の正体に迫る、特集「アクティビスト日本襲来」(全12回)。海外のアクティビストが日本のマーケットで存在感を高めている中、その勢いに負けじとファンドの立ち上げに挑戦しようとしている日本人がいる。#4では、アクティビストを巡る人材の動向と併せて、新型金融エリートの実態をお届けする。(ダイヤモンド編集部 田上貴大、重石岳史)

アクティビストに転身する
金融エリートがじわりと増加

 和製アクティビスト元年――。日本で物言う株主の存在感が高まっている中で、日本人が新たなアクティビストファンドを立ち上げる動きが出始めており、この1~2年のうちにそんな呼び名が定着するかもしれない。

 巨額の内部留保を蓄えていたり、株価が割安であったりという理由から、多くの日本企業は今、海外アクティビストにとって格好の的だ。それでも、日本のマーケットに参戦している海外のアクティビストは全体のわずか2割ほどだという。

 片や日本のアクティビストといえば、元通商産業省(現経済産業省)の官僚だった村上世彰氏が率いる「村上ファンド」がパイオニアだ。日本で初めて敵対的TOB(株式公開買い付け)を行い、その後も続々と大手企業の主要株主に名を連ねるなど、2000年代前半に一世を風靡した。

 物言う株主が日本の企業にとって脅威となる存在だというイメージを植え付けたのも、こうした先駆け的なアクティビストの“成果”の一つに違いない。

 そうした負のイメージを払拭するかのように、アクティビストたちは従来とは異なる武器を用いて企業に提案を仕掛けるようになった。詳しい説明は特集#1「地銀も狙われた! 『物言う株主』が日本企業に突き付ける要求とは?」に譲るが、内部留保を株主還元に回せとの一点張りの主張をするのではなく、事業の売却や取締役の選任など多様な要求を行い、企業と攻防戦を繰り広げている。

 この状況下で、従来型とは異なる“日本流”の投資活動を行おうという動きが顕在化し始めている。