セブンがついに値引き販売「解禁」!内部資料で判明した“加盟店格差”が示唆する、大方針転換の理由「エコだ値」シールの貼られた商品。写真の3点は消費期限までは6時間以上あるものだった Photo by Nami Shitamoto

セブン-イレブン・ジャパンは5月から、全国の店舗で値引き販売を本格開始した。これまで値引きに及び腰だったセブンが方針変更に踏み切ったのはなぜか。ダイヤモンド編集部が独自入手した内部資料を基に、セブンの真の狙いを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

セブンがついに値引き販売を本格開始
4種類の割引シールが登場

 コンビニエンスストア業界の“山”がついに動いた。セブン-イレブン・ジャパンが本部主導で値引き販売を本格的に開始したのだ。

 5月13日以降、全国のセブン-イレブンで「エコだ値」と書かれた緑色のシールが商品に貼られ始めている。新たに導入された仕組みは、商品管理システム上でリストを通知し、各店のオーナーが割引シールを貼るというものだ。値引き金額は20円、30円、50円、100円の4種類で、どのシールを貼るかはオーナーが判断する。対象となるのは、お弁当やおにぎり、デザートなど300品目だ。

 食品ロスが社会問題となる中、コンビニ業界は値引きの取り組みを加速させてきた。ファミリーマートは2021年7月から、割引シールを導入。ローソンは創業当時から値引きを行っているが、さらに24年7月までにAI(人工知能)を活用した割引システムを全国の店舗に導入する予定だ。これは、過去の販売状況や天候から適切な値引き額を割り出し、利益を最大限確保するものだ。

「本部と加盟店は共存共栄」――。セブンはフランチャイズビジネスの拡大に当たり、創業当初からそんな理念を掲げている。だが、両者は値引きを巡って緊張関係にあった。

 実は、創業当初からセブンは加盟店に対し、値引きを実質的に“禁止”してきたのだ。日常的に値引きシールを貼ることで、割引商品を目当てに来客する人が増え、長期的にはオーナーの利益をそぐと考えたためだ。

 次ページでは、これまでセブンが値引きを“禁止”してきた理由を解説する。また、ダイヤモンド編集部が入手した内部資料を基に、セブンが本部主導による値引き販売の解禁に踏み切った理由と見られる”加盟店格差”の中身について明らかにする。