セブンの死角 伊藤忠&三菱商事の逆襲#2Photo by Hideyuki Watanabe

セブン‐イレブン・ジャパンの永松文彦社長は、特定地域に集中的に出店する「ドミナント戦略」の有効性を強調し、店舗の増加のペースを2倍以上にする考えを示した。特集『セブンの死角 伊藤忠&三菱商事の逆襲』(全15回)の#2では、ドミナント出店を続ける強気の理由や、8割の社員の年収がアップする新人事制度の狙いを永松社長に語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

社員のエンゲージメント低下に危機感
新人事制度の狙いを経営トップが解説

――総菜の価格が高くなることで、スーパーや閉店前のデパ地下などの総菜に対する優位性が失われませんか。

 値段が上がっているのは事実です。現在、(日本経済全体で)3%ぐらいのインフレになっていますから。

――コンビニは最近、(消費期限は長く設定できるが、ご飯の食味が悪くなるといった短所が指摘されている)チルドの総菜が増えています。一方、スーパーやデパ地下の総菜の多くは常温で管理する商品です。品質と値段のバランスにおいて優位性を失うのではないかと心配する声が、セブン-イレブンの加盟店オーナーから出ています。

 値上げはどこの(小売りの)業態でも行われていますよ。コンビニうんぬん(不利になること)ということにはならないと思います。

――インフレで可処分所得が減少する中、どんな価格戦略を取りますか。

 コンビニは値段が高いと思われがちです。セブン&アイグループのプライベートブランドであるセブンプレミアムは松竹梅の梅として作ったわけではないのですが、ナショナルブランドのようには値上げしなかったので、結果的に梅的になっている。半年ぐらい前から「安心価格」というポップ広告を付けるようになりました。これにより梅的な商品の売り上げが伸びています。

次ページでは、永松社長が、強気の出店戦略や、三井物産との提携関係、創業以来最大の人事制度改革の狙いなどを余すところなく語る。