結婚しない選択のために
若いうちから準備すべきこと

 結婚に適した相手に出会いにくくなっている時代ではあるが、そもそも、人は何を求めて結婚するのだろうか。それを考えるためにいま一度、結婚のメリットを整理しておきたい。

「先々の将来を見据えた長期的な視点で言えば、結婚することにはメリットがあります。老後に独身だと寂しい思いをするし、最悪の場合、孤独死に至るリスクもある。一方で、若くて元気な時には、自由に行動できてお金を使える独身であることにメリットがあるので、結婚には短期的なメリットがあまりありません。しかし、若いときに長期的なメリットを得るためだけに行動するわけではないので、短期的なメリットも感じられる相手でなければ結婚する気にはなれません。短期的なメリットというのは、例えば一緒にいて楽しい相手であるということや、今よりも豊かな生活ができるということ。しかし、豊かな生活というメリットを結婚に求めるのは、女性が自分よりも収入が高い独身男性に出会いにくい今の時代、なかなか難しいでしょう」

 一方で、女性には出産のタイムリミットというものがある。30代後半に差し掛かりを視野に入れることで、結婚への意識が高まる人もいるのだろうか。

「多少の妥協をしてでも結婚を決める人も出てきます。しかし、その場合も、子どもの父親として一緒に子育てをしていく相手を選ぶわけですから、妥協にも限界がありますよね。今は一人で子どもを産んで育てる女性の生き方が注目されていますが、それもやはり少数派です。夫が無職や暴力男などというような極端なケースを除けば、一般的には父親がいた方がいいケースが多いはずです」

 若い時代は独身で気楽に過ごす生活も魅力的だが、老後に一人で生活せざるを得なくなる未来を考えると、いずれは誰もが身の振りを考えなければいけないタイミングを迎えることになる。どんな社会になれば、結婚に適した相手に出会いやすくなるのだろうか。そして、もし結婚せずに生きるという選択をするとしたら、どんなことに気をつけなければいけないのだろうか。

「国が助成金などを充実させて、お金のことを気にせずに相手を選べる環境になれば結婚しやすい社会になると思います。結婚のメリットは、主に老後の孤独に対処するということですから、独身でも友達や仕事に恵まれていれば、必ずしも結婚する必要はありません。社会学者である上野千鶴子さんのベストセラー書籍『おひとりさまの老後』でも書かれていますが、あえて結婚しない人生を選択する人は、老後を見据えた住まいやお金や交友関係など、若いうちから準備を進めておく必要があります」