妊娠出産を望むのは難しいが
実はおすすめの「高齢婚」

「妊娠出産を視野に入れないのであれば、そもそも結婚適齢期という考え方に囚われる必要はありません」と山田氏は語る。

 50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合を示す「生涯未婚率」は、1990年以降大幅に上昇している。国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、2020年の生涯未婚率は男性28.5%、女性17.8%にも上る結果となった(*4)。

(*4)国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2023)改訂版」
https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/Popular2023RE.asp?chap=6

 しかし、人生100年時代において、50歳時点での婚姻状況で「生涯未婚」と決めつけてしまうのは、早計かもしれない。若いときには独身で自由な生活を謳歌し、老後に訪れる不安を解消することを考えれば、自然と行き着くのは、結婚適齢期ではなく、50歳など老後を見据えた年齢での結婚だ。

「実は私自身も『高齢婚』を推奨していまして、実際に増えているんですよ。子どもを持つことはできませんが、今はいろいろなつながりを持つことができる時代です。高齢になってから結婚しても、その後の人生を十分に楽しんでいくことができます」

 女性が働くことが一般的になり、誰でも結婚・出産を経験するわけではない現代、さまざまな選択肢があってしかるべきだろう。結婚しない女性もいるし、結婚や出産を何歳で経験するかによっても、キャリアを含めた女性の生き方は、大きく変わる。典型的なモデルケースが通用しない社会に突入している今、それぞれが自分の求める幸せを手に入れることができる社会になることを願ってやまない。