武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長/Musashino Valley 代表/LINEヤフーアカデミア 学長であり『1分で話せ』の著者・伊藤羊一氏と、IT批評家で『プロセスエコノミー』の著者・尾原和啓氏の共著、『努力革命』が5月に発売。重版が決定し、ますます話題を集めている。本の発売を記念して行われた、サイバーエージェント常務執行役員CHOの曽山哲人氏と、『努力革命』の著者である伊藤羊一氏、尾原和啓氏の鼎談中編。AI時代、「変化対応力」を推進する組織の風土とは?
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ChatGPTは「いい質問をしてくれるマシン」
伊藤羊一氏(以下、伊藤):お話ししていて、根本的なことに気づきました。
「ソヤマンGPT」(サイバーエージェントが開発中の生成AI)といった生成AIは、「イチから考える時間がないから考えて」とか、「孫さんだったらどう思うのか、フィードバックが欲しい」とか、アウトプットに関して相当な思いを持っている人じゃないと、宝の持ち腐れになってしまうかもしれません。
「いいアウトプットをするために、まずは80点を出すのだ」という、思いから始まっているところがありますよね。
曽山哲人氏(以下、曽山):まさにそうです。澤円さんとの対談(詳細は『「ChatGPT、俺的にはイマイチなんだよね」と発言する人の残念な末路』を参照)でも議論になっていましたが、目的意識があって、それに対して「なんとかしなきゃいけない」というファーストステップがある。
そして、さらに重要なのは言語化ですよね。言語化というのは、アウトプットする癖です。「困っているから、かたちにしたい」という意識がある人のほうが、やはり成長しやすいです。「生成AIは単なる手段だ」と言って、目的意識に対して活用するツールになれば、どんどん使うようになりますよね。
尾原和啓氏(以下、尾原):そうですよね。ソヤマンGPTが「成果は何?」という質問から始まるように、ChatGPTは「答えを教わるマシン」として考えるより、「いい質問をしてくれるマシン」と捉えたほうがおもしろいです。
いい質問に対して、未熟でもいいからアウトプットを返すと、褒めながら分解していってくれる。そういうマシンだと考えると、インプット・アウトプットのループを5回転、10回転できるようになるんですよね。
曽山:そうですね。本当にそう思います。
尾原:考えれば考えるほど、サイバーエージェントと文化が近くないですか?
曽山:そうですね。社員のみんなは、本当にいろいろ実験してくれています。