「褒め合う文化」が成長を加速する

尾原:「抜擢」には、2種類あるじゃないですか。要は、上司から「お前ならいける」と期待をかけてフックアップすることと、例えば「あした会議」で自分から手を挙げて、上司が「お前やってみろ」と言うことです。これは、似ているようで違いますよね。

曽山:まさに。

尾原:サイバーエージェントは、後者がどんどん増えてきているイメージがあります。

曽山:そうですね。

尾原:前者も覚悟が要りますが、上司が抜擢するところから、部下が自ら手を挙げることに対してチャンスを提供していくところへの変曲点は、どうやって演出していったんですか?

「自走サイクル」というときれいだけど、それを回すのはめちゃめちゃ大変じゃないですか?

曽山:難しいです。1個目の「抜擢」ができないんですよ。「期待をかける」ことをしていない会社は、「うちは期待をかけれていないんだよね」と言って終わるんです。

「期待をかける」というのは、別の言葉で言うと、「褒める」なんですよね。褒めるためには観察しないといけないし、評価しないといけない。適当に褒めるとすぐにバレてしまうので、仕事として大変なんですよ。

 でもちゃんと褒めると、モチベーションがアップして、やりがいを感じるようになりますよね。だから、「褒め合う」「認め合う」のが、私たちのベースにあります。

尾原:おっしゃるとおり、「褒め合う」って、観察と言語化ですよね。観察だけできて、言語化ができていない人は、ChatGPTにめちゃくちゃ向いているんですよ。「僕はこの人のここの部分がいいと思うんだけど、言語化できないんだよね」と聞くと、ChatGPTが言語化してくれます。

 サイバーエージェントの場合は、上司やメンバーが言語化しているから、「褒め言語化の引き出し」が増えていますよね。

曽山:引き出しが多いんですよ。

尾原:でも、ゼロから引き出しを作っていく時は、ChatGPTに「ここに違和感を覚えるんだよね」「これは良さげだけど、どこがいいと思う?」と聞くと、5つくらい言語化してくれます

曽山:すごい(拍手)。

尾原:そうすると、「僕が思っていた褒めポイントはここだ」となります。

曽山:すばらしい。

尾原:ゼロから作ると大変だけど、5つ挙げてくれたら「これだ!」となるので、2回目からは自分で言語化できるようになるじゃないですか。

伊藤:ほんとだ。

曽山:間違いないです。

尾原:ループを回すのは「期待をかける」ことであり、「期待をかける」には「褒め」がなければならない。その「褒め」を作るには、「観察×言語化」が必要だということですね。その一周目は、めちゃくちゃ貴重ですね。

曽山:そうなんですよ。

伊藤:そうだね。

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