抜擢・決断・失敗・学習の「自走サイクル」を回す

尾原:その「共通的なもの」は、どうやって育むんですか? これって、AIが新規事業を横に連ねていく時代に、組織でものすごく重要な要素だと思うんですよね。

「サイバーエージェントだから生まれるんじゃないの?」と、羊一さんの指摘した部分はけっこうあると思うんです。

曽山:一番重要なのは、一言で言うと「抜擢」ですね。抜擢は、決断する意欲を生む環境になります。

尾原:なるほど。

曽山:意味づけや期待をかけられることで、「これを任されたならやろう」という気持ちになります。営業でもエンジニアでも、主体的な決断が加速される風土があるんです。

 私たちには抜擢の連鎖があって、「自分で決める」動きがある。「自分で決めて失敗しても、セカンドチャンスがある会社ですよ」「僕自身、何回も失敗もしていますよ」と役員みんなが言えるくらい、失敗している。

 そんな事例がある中で、抜擢・決断・失敗・学習のサイクルがグルグル回ります。

(スライドを提示していただいて)ありがとうございます。僕が出すべきなのに、尾原さんが出してくださって(笑)。

尾原:(笑)。

曽山:こちらのフレームです。抜擢・決断・失敗・学習の「自走サイクル」ですね。

伊藤:サイバーエージェントのみなさんは、当たり前のこととして思っている。当たり前すぎるから、表に出てくることもない。でも、抜擢・決断・失敗・学習のサイクルは会社の目的であり、世の中を良くするためであり、会社としては、「しっかり成果を出していく」ためである。

 そこが、共通言語として共有されているから、「あした会議」でも、「あした」につながるものであれば、何でもいい。「コストダウンだからと言って、提案してもいいのかな?」とか関係なく、提案してもいい空気が生まれるんですよね。お話ししていて、共通の価値観を徹底していることに気づきました。

曽山:私たちは採用の時点で、「サイバーエージェントはこういう価値観だよ」と伝えます。そして入社した後には、それが期待値コントロールとしてちゃんとあることを、事例を通して見せています。

 それを若い人にも早めに体感してもらえると、「その流れで私もがんばっていこう」となります。

伊藤:オーナーシップを持つようになるわけですね。