尾原:ボトムアップで新規事業を作る「ジギョつく」に対して、「あした会議」は、事業庁の方がコミットしながら新規事業を作っていきますよね。
「あした会議」がおもしろいのは、新規事業以外にも、会社の組織開発や組織変革がターゲットエリアに入っていることです。だから、実行力があるというお話でしたよね。
曽山:そうですね。
尾原:技術が変化をより加速させているから、技術者版「あした会議」を実施しているのですね。
3つのエンジンで「変化対応力」を加速する
曽山:今、「CA BASE SUMMIT」(技術者版「あした会議」)の記事をチャットに送りました。リンクを開くと、藤田の写真が出てきます。
伊藤:ほんとだ。
尾原:生成AI以外のテーマもこの会議で決まって、「これをやっていこう」といった話が出てきているのですか?
曽山:たくさん出てきています。例えば、私たちはコストを部署ごとに分散しています。事業体が違うので、仕入れがバラバラなんです。それを、金額も含めてどう効率化していくかなど、全社横断的な効率化についての提案もよく出ています。
また、「最先端の技術レベルを上げるために、こういう勉強会をやったほうがいいんじゃないか」といった提案もありますし、評価制度や研修についての提案もありますね。
尾原:なるほど。
伊藤:提案されるものは、いろいろあると思います。モチベーションを上げる施策やコストを下げる施策だけでなく、「事業をこういうふうにやっていったら、絶対にいいと思うんだよね」といったことも、フラットにバンバン提案されていくイメージなんですか?
曽山:バンバン提案されますね(笑)。
伊藤:会社によっては限定的ですが、サイバーエージェントは「何でもいいから出して」といったかたちで、フリーに解き放たれて出てくるんですか?
曽山:フリーですね。サイバーエージェントの「あした」につながるものであれば、何でも良しです。小さいものはダメで、「インパクトがあるもの」がすごく大事ということですね。
伊藤:なるほど。
尾原:記事には、「持続的な成長を実現する技術経営を追求すべく、『変化対応力』を競争力とする」と書いてあります。AIを含めて変化が加速していく時代に、この「変化対応力」を推進する3つのエンジンが、めちゃめちゃかっこよくて。
「イノベーションの推進を継続的に実現する仕組み」「開発総合力」、そして最後に「オーナーシップ・カルチャー」と定義していますが、これはAI時代にめちゃくちゃ共通する話ですよね。こういうのをズバッと言える力って、何なんですか?
曽山:これを言ってくれた長瀬が、本当にすばらしいわけですよ。
今送ったリンクに写っているのが長瀬です。ポイントとしては、技術担当役員である長瀬が、他の各部門の技術キーマンと徹底的にコミュニケーションを取っていることです。それがすごく大きいですね。
技術統括室という横断組織があって、各部門のCTOクラスのメンバーが集まります。サイバーエージェントはどうあるべきかを議論する中で、「フォロワーシップとオーナーシップはセットであるべきだ」と、長瀬はよく言っています。「一人ひとりがオーナーシップを持つために、フォロワーシップを発揮することもみんなの仕事だよ」と。
ジョブディスクリプション(職務記述書)の中に、それも入っていますね。
尾原:なるほど。変化が加速的に増えていく時代は、新しいものがどんどん横に連なっていきます。そうすると、横を共通化した「変化対応力」を上げていく人が必要です。
さらに言えば、新しいことに対して誰かがオーナーシップを持つためには、フォロワーシップが必要だということですよね。
曽山:そうです。
尾原:これは、羊一さんが言っているリーダーシップの3段階、「Lead the Self」「Lead the People」「Lead the Society」 につながりませんか?
伊藤:つながりますね。サイバーエージェントの場合、文化としてみんなが共有している部分がある。そんな気がしてならないんですよね。だから、「みんながそこを意識している組織って強いな」と、あらためて思いましたね。
曽山:ありがとうございます。