仕事にやりがいを求める
若者が増えている

 難関かつハードな仕事内容であるにもかかわらず、どうして多くの学生がTFAで働くことを希望するのか。

 もちろん、自分が教えることによって子どもたちの成長を実感できることは大きな魅力だろう。ただ、それだけではTFAが就職人気ランキングで上位に入る理由を説明できないように思う。

 TFAが学生に人気なのは、「格差社会を変えたい」とか「社会をもっと良くしたい、インパクトを与えたい」という思いを持ち、仕事にやりがいを求める人が増えているからだろう。

 僕がハーバード留学中に出会った人や、今、一緒に日本で活動している人の多くは、教育について何らかの問題意識を持っている。幼いころの原体験によって問題意識を持った人もいれば、大学で研究テーマとして選んで初めて気づいた人もいる。彼らは皆、貧困格差、教育格差で苦しむ子どもたちを救いたいと活動をしている。

 きっかけはさまざまだが、教育問題に関心を持つ学生は大勢いる。ただ、今までは行政や企業だけでは彼らの思いを受け止めきれなかった。そこに登場して、何か社会貢献をしたい、社会を変えたいという思いを持つ学生たちの受け皿になったのがNPOだ。アメリカの場合は、それが、このTFAであり、この団体は設立から20年以上を経て卒業生が2万4000人を超える巨大組織になったのだった。仕事のやりがいとキャリアを両立できる場所。それがTFAなのだ。

次回の更新は、4/17(水)です。
※この連載は書籍『グーグル、ディズニーよりも働きたい「教室」』を抜粋、再編集したものです。


松田悠介(まつだ・ゆうすけ)
全米で就職ランキング第1位になったティーチ・フォー・アメリカ(TFA)の日本版「ティーチ・フォー・ジャパン(TFJ)」創設代表者。大学卒業後、体育科教諭として中学校に勤務。体育を英語で教えるSports Englishのカリキュラムを立案。その後、千葉県市川市教育委員会教育政策課分析官を経て、ハーバード教育大学院修士課程(教育リーダーシップ専攻)へ進学し、修士号を取得。卒業後、外資系コンサルティングファームPricewaterhouseCoopersにて人材戦略に従事し、2010年7月に退職、現在に至る。世界経済会議Global Shapers Community メンバー。経済産業省「キャリア教育の内容の充実と普及に関する調査委員会」委員。

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