「カン違い」社員にカチン

《若くて、ちょっとできる人は勘違いしやすいのかもしれませんが、個性をだすことと、会社の経営方針に従うことはまったく別のことです。むしろ、その勘違いを指摘して、個性など殺して、「会社のやり方を徹底しなさい」というアドバイスをした上司に出会えたのは素晴らしいことだと、僕は思います》

《というのも、「会社という枠組みの中では自分の個性が発揮できない」と、こぼしている人は、確実に失敗するんです。そして、そんな勘違いを正すことは、上司の務めのひとつだと信じています》

 文章は極めて冷静な筆致で書かれているが、現場での柳井氏の声は明らかに怒気をはらんでいた。サラリーマン社長にはない「何に対しても本気で臨む姿」が柳井氏にはあった。

「こうしたハラハラしたインタビューになると、記事が俄然面白くなる」。先輩編集者には後からそう励まされたものだ。柳井氏が続ける。