遺族をカモにする「ぼったくり葬儀屋」が言いがちなセリフとは?「実家が葬儀会社」の経営コンサルが警鐘!Photo:PIXTA

今の日本では少子高齢化が急激に進んでいる。だが、亡くなる人が多いにもかかわらず、実は葬祭関連ビジネス市場は縮小傾向にある。そして、勝ち残る葬儀屋と潰れる葬儀屋の間で明暗が分かれている。両者の差はどこにあるのか。また、昨今は淘汰が進んでいるものの、遺族に不利な条件を突きつける葬儀屋にはどんな特徴があるのか。「実家が葬儀会社」の経営コンサルタントが提言する。(森経営コンサルティング代表取締役 森 泰一郎)

「実家が葬儀会社」の経営コンサルが
葬祭市場の問題点を斬る!

 日本は 超・少子高齢化社会を迎えている。2023年の出生数はわずか75.86万人。それに対して、同年の死者数は159.05万人と大幅な人口減少フェーズにある。

 10年前(13年)の出生数は102.98万人、死者数は126.84万人だった。当時ですら少子高齢化が問題視されていたが、この10年間で出生数は約27%減少し、死者数は約25%増加した。

 しかし奇妙なことに、少子高齢化が進む中で、実は葬祭関連ビジネスは市場縮小の窮地に立たされている。

 矢野経済研究所が昨秋に発表した「葬祭ビジネス市場に関する調査」によると、13年時点での市場規模は1.77兆円だった。そこから1.8兆円前後でしばらく推移した後、20年に1.5兆円まで大きく下がった。

 20年の規模縮小はコロナ禍の影響によるものだが、その後も21年(1.54兆円)、22年(1.64兆円)と回復度は緩やかだった。23年の市場規模は1.73兆円程度だと見込まれている。24年以降も市場規模は回復せず、32年の予測値は1.76兆円にとどまるとされている。

 32年になると、コロナ禍ははるか昔のものとなり、少子高齢化がさらに進んでいるはずだ。にもかかわらず、市場規模は13年実績を下回る見込みなのだ。

 それは一体、なぜなのか――。
 
 筆者は普段、新規事業を中心とした経営コンサルティングや上場企業の社外取締役をしているが、実は大正期に創業した老舗葬儀会社の生まれである。

 そこで今回は、「実家が葬儀会社の経営コンサル」という独自の目線から、葬祭関連ビジネスの現状と課題に迫る。昨今は淘汰されてきたが、遺族に対して「強気な価格」を提示する葬儀屋の特徴についても解説していきたい。