予備校講師の「発声方法」も
意外と重要!?

 というのも、塾・予備校で授業を受ける高校生や浪人生は、大学生とは異なり、家庭(両親・親戚など)や学校(先生や事務員など ※現役生の場合)くらいしか社会人との接点がありません。受験期にアルバイトをしている人も珍しいでしょう。

 そのため、予備校講師に対して「目上の人=自分たちを注意・指導する存在」というお堅いイメージを持ち、無意識のうちに壁を作ってしまう生徒も一定数います

 でもカリスマ講師たちは、その壁を破るのがとても上手でした。先述した人間味あふれる授業は「大人が子どもに知識を教えてあげる」という形ではなく、生徒の心の中にスッと入ってくるものでした。そうした授業を自然にできる人が、多くの受講生を集めるカリスマ講師になりうるのだと思います。

 そして、彼らに共通していたポイントはもう一つあります。それは発声方法です。他の人気講師も含め、自分の世界に生徒を引き込める人は、まるでアナウンサーのような「腹式呼吸による発声」の使い手であることが多かったのです

 私語が目立ち、生徒が集中できない講義は、講師が前の方でボソボソ話している場合があります。もちろん授業自体は有益なのですが、大多数を自分の世界に引き込むことはできません。後ろの席に座っている生徒には「そもそも聞こえない」のですから、集中が途切れるのも無理はありません。

 しかし、私がお世話になった英語や国語の先生は、お腹を膨らませて、生徒たちの耳の奥まで響く声を出していました。この発声方法が、ただでさえ有益な授業の魅力をさらに引き立てていたのです。

 大教室の前に座っている人にも、後ろに座っている人にも平等に話が伝わるので、座席による不公平感も生じませんでした。先生方の声が枯れることもなく、いつも最後まで安定して聞き取ることができました。これらは意外と重要なポイントであり、生徒を魅了する大きな要因になっていたように思います。

 もし受験生や親御さんが本記事を読んでいて、塾や予備校の体験授業を検討している場合は、先生の「愛嬌」や「発声方法」を入塾の判断基準にしてはいかがでしょうか。