東大・難関大合格者が慕う
カリスマ講師の教えとは?

 ここまでは私の実体験をもとに、カリスマ講師の特徴について紹介してきました。ここからは、取材で得た知見をお伝えしていきます。

 私はジャーナリスト活動を通じて、難関大学の合格者を数多く取材してきました。100人を優に超える人々に話を聞く中で、カリスマと呼ぶべき講師には、もう一つの強みがあることに気付きました。それは、受講生を「深い学びの世界に引き込む」という能力です

 私はインタビューに応じてくれた皆さんに、塾・予備校で学んだことを欠かさず聞いているのですが、実は東京大学や難関私立大学、医学部などの合格者から「恩師」として特定の予備校講師の名前を聞くことが多くあります。その予備校講師は英語を担当しているそうですが、教え子たちは以下のようにさまざまな思い出を語ってくれました。

「何十カ国語も理解している先生で、『この英単語はラテン語・ギリシャ語から来ています』と説明してくださいました。教養雑談というような感じで、学問の楽しさ・喜びを教えていただきました」(Aさん)

「どちらかというと『弱い生き物』だったサルが、どのように生存競争を勝ち抜き、ヒトに進化したのかという話がとても印象に残っていて、今でも人生の糧になっています」(Bさん)

「今までは勉強をやらされている感覚だったのですが、先生の話で哲学の世界に興味を持って、主体的に勉強するようになりました」(Cさん)

 この先生は、大学入試を突破する手段としての勉強を教えていたのではなく、人生を通して教養を深めることの楽しさを伝えていたのではないでしょうか。

 勉強は人生の一部ではなく、勉強の中に人生がある。

 そのことを教えてくれる講師に出会えた人は、受け身の勉強に別れを告げ、主体的な学びを楽しめるようになったのでしょう。だからこそ、東大や難関大に合格できたのかもしれません。

 小手先の話術で生徒の興味を惹こうとするのではなく、圧倒的教養に基づく正統派の授業で生徒を感服させる。そして結果を出す。これぞ、カリスマ講師と呼ぶに相応しい仕事ぶりだと思います。