立ったままの接客は当たり前?日本でレジの椅子設置が進まない「2つの理由」Photo:PIXTA

レジの椅子設置、厚労省に申し入れ
世界では椅子に座って仕事が普通の光景

 最近、スーパーなどのレジに、椅子を設置する運動が広がっている。

 5月末には、立ち仕事に従事する若者や、「首都圏青年ユニオン」の有志からなる「#座ってちゃダメですかプロジェクト」のメンバーが、椅子の設置に関する規則の具体化や周知徹底などを求めて、国会内で厚労省の担当者に椅子設置促進の申し入れをしたそうだ(「東京新聞」2024年5月25日)。

 言うまでもないが、スーパーなどのレジでの「立ちっぱなし」による長時間の接客は、足のむくみや痛み、下肢静脈瘤、腰痛などを引き起こし、労働者の心身への健康被害をもたらす。しかもこの仕事が「立ちっぱなし」でないとやれない、という合理的理由はまったくない。

 だが日本では、スーパーなどのレジで、立ったまま接客するのは当たり前だと思われている。スペインやイギリス、ドイツ、オランダなど欧州各国や、チリ、ブラジルなどの南米の国々、お隣の韓国でも、レジで従業員が椅子に座って仕事をするのは普通に見られる光景だ。私もイギリスやドイツで頻繁にこうした光景を見たが、まったく違和感はなかった。

 どうして日本だけが違うのか。背景には日本独特の消費文化と権利意識の希薄さがある。