経営 X 人事
若手社員を辞めさせず成長させる 「適度なかまい方」マニュアル
【第4回】 2008年11月25日
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間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発編集部副部長]

若手はなぜ成長を急ぐのか?
「会社」よりも「自分の能力」を重視する理由

――若手が3年以内に辞める理由その(2):希望が見えない時代に育った20代の心理背景

 さて、そろそろ話を「かまい方」に近づけていかなければなりませんね。育ってきた時代背景と、コミュニケーション法の変容。ここを押さえておくことが、適度なかまい方の重要なポイントです。もういちど年表を見ていただき、部下の年齢をあてはめてみてください。「なぜ、話しが通じないんだろう」と思ったときに、話が通じない理由はわからないまでも、「話が通じなくてもしかたがないのかもしれない」とは思えるかもしれません。話が通じなくてイライラするだけであるより、よっぽど精神衛生面ではプラスです。

 なぜ成長を急ぐのかがわかれば、新入社員に与えるエントリー・ジョブも変わってくるかもしれません。小さいときからケータイとネットを使って人づきあいをしてきた彼(女)に、社会人としての対人コミュニケーション能力を身につけさせるためには、少々、時間がかかるということも理解できるはずです。社会人としてのコミュニケーション能力を身につけさせる方法については、項をあらためて解説したいと思います。

適度なかまい方の大前提は
「若手に関心を持つこと」

 暗く冴えない時代に育った若手たち。総じて会社に依存する気持ちが薄く、自分自身の成長を重視する世代であるとはいえ、もちろん個性はそれぞれ違います。

 そこで適度なかまい方の大前提として特筆したいのは、「若手に対して関心を持つ」ということです。彼(女)が育った時代背景について解説したのも、その一環です。誤解を避けるために付け加えると、若手に対して関心を持つというのは、部下のプライバシーを詮索することではありません。

 あなたと部下とは、会社の中でたまたま関わることになったわけですが、単なる上司・部下という役割でだけでつきあっていると、そのうち人間関係が袋小路に突き当たるのではないでしょうか。

 部下の成長に力を貸すこと。その意識があるかないかで、若手のリアクションは必ず変わってきます。

 成果主義の営業会社などは典型的ですが、部下が育つと自分の成果を奪われるかもしれない、そんなやつになんで仕事を教えなければならないんだ!という意識に満ちた会社があります。そういう会社は、3年で3割以上が辞める会社です。キャリア豊富な先輩として、もっと自信を持って相対してほしいと思いますし、いつまで最前線のプレーヤーでいるつもりなんだろう、と思います。会社のキャリアパスの問題もありますから、一概に上司世代だけを責めることはできません。しかし、会社の仕組みとして、ある一定の年代になったら、プレーヤーとしてのウェイトを下げて、部下の育成を重要な評価項目にするべきでしょう。

 「こいつがオレの退職金を稼いでくれる。だから、こいつを育てる必要があるんだ」。私の部下育成についてのモチベーションの1つは、こんなことだったりするのですが。

 

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間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発編集部副部長]

1961年、東京都生まれ。1986年 、早稲田大学第一文学部文芸専修卒業、ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部に配属され、以後、記者として流通、家電、化学・医薬品、運輸サービスなどの各業界を担当。2000年 週刊ダイヤモンド副編集長。2006年 人材開発編集部副部長。著書に『だから若手が辞めていく』(ダイヤモンド社刊)

 


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